France からの渋目の free jazz / improv. duo の2枚を軽く紹介。 Francois Houle / Benoit Delbecq _Nancali_ (Songlines, SGL1519-2, '97, CD) - Recorded 96/4/23,97/5/5 - Francois Houle (cl), Benoit Delbecq (p,prepared p) Gilles Deleuze and Felix Guattari, _Mille Plateaux_ (Editions de Minuit, '80) にインスパイアされたということで、"Rhizome" と題された曲がI〜IVの4曲もある アルバムだが。題となっている "Nancali" という言葉がどこから取られているのかは 僕にはわからない。まあ、そんなことは知らなくても充分に楽しめる作品だと思う。 Francois Houle の clarinet は、吹きまくるということはなく、Jimmy Giuffre の ように静かに抽象的な感じのする音で鳴っている。対する Benoit Delbecq の piano は Paul Bley のようかというと、そういうふうに鳴るときももちろんある。 ただ、prepared piano も用いて、The Recyclers で聴かれるようなひょうきんな 音を繰り出してくるときもあって、それが良いアクセントになっている。単に辛気 臭い淡々さではなく、ふとユーモアも感じさせてくれる、そんな佳作。 Dominique Pifarely / Francois Couturier _Poros_ (ECM, ECM1647, '98, CD) - Recorded 97/4 - Dominique Pifarely (vln), Francois Couturier (p) こちらは、Louis Sclavis Quintet の violin の Dominique Pifarely と piano の Francois Couturier の duo。ECM の New Series ではないが、非常に現代音楽色の 濃い作品になっている。(Mal Waldron, "Warm Canto" でわずかにほっとさせて くれるけれども。それでも。) piano の重めの落ち着いた響きもそうなのだが、 violin の緊張感ある響きがぐっと引き締まった感じを与えてくれる。きりっと 引き締まった気分にさせてくれる佳作。 と、対照的な、だけど続けて聴くと共通する渋さもある二枚。お勧め。 98/3/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕