際物最前線の TFJ です。 Pierre Henry _Interieur / Exterieur_ (Philips, 462 132-2, '97, CD) - Pierre Henry (piano,voix,appeaux); Violent Femmes (Gordon Gano (vo,g), Brian Ritchie (bass g,didgeridoo,psaltery,vo), Guy Hoffman (ds,perc)) on 2,4,5,6,11,13,14. ピアノのぽつぽついう抽象的な1曲目が終わった直後の2曲目冒頭に、いきなり 「あぁ〜あ〜!!」という Gordon Gano の叫び声が入るのは、やっぱり落差が 大きいような気がする…。 と、France の contemporary classic の現代音楽作家 Pierre Henry の新作は、 USA のへなちょこ punk folk trio 、Violent Femmes との共演盤。いったい 何をどう間違えてこの共演に至ったのかその経緯は不明なのだが、1996年の Paris の Festival d'Automne (秋祭?) でのヴィジュアルも含めたイベントで 使われた音を収録したものらしい。Violent Femmes に関して言えば、95年春の 来日公演を観に行って以来、これといった活動を耳にしていなかったのだが、 何をしていると思えばこんなことをしていたのか…。といっても、来日前にも Knitting Factory で演劇風の実験プロジェクトをやっている、という記事を 読んだことがあるので、もともとそういう資質もあるバンドなのだろう。 といっても、へなちょこ punk folk な Violent Femmes の色は、このCDの中 には全くない。たしかに Gordon Gano のへなちょこな声の叫び声や断片的な ギターの音も聴こえるし、Brian Ritchie の bass や didgeridoo の低音も 鳴っているのは判る。全体としてサウンドコラージュっぽく、その中での主要な 断片を成している、といった感じだ。 いったいどういうヴィジュアルを付けたのか、とか、Violent Femmes の3人は どういうパフォーマンスをしたのか、とか、が気になる妙に舞台を感じさせる 音である。パフォーマンスを観ると面白そうな気がするのだが、CDの音だけなら マニア向けかもしれない…。 98/3/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕