Louise Vertigo _Femme Fin De Siecle_ (Yellow Production, 3984-22584-1, '98, CD) - Musique par Bang Bang, Mighty Bop, Zend Avesta, Kid Loco, Extralucid. - Produit par Chris "Da French Kiss" pour Mighty Bop Sessions. Dimitri From Paris や Mighty Bop で知られる France の abstract hip hop の レーベルから女性歌手のアルバムが出た。といっても、Mighty Bop の Chris Le Friant の制作で、トラックの半数以上を Mighty Bop が、その他にも、 Stereolab の remix などで知られるようになった Kid Loco といった、France の abstract hip hop 界隈のミュージシャンが手掛けている。 downtempo breakbeats 〜 drum'n'bass 風のトラックを背景に女性歌手が歌う、 という展開なのだが、例えば、脱 drum'n'bass 期の女性歌手物の中でが良い出来と 思える Everything But The Girl, _Walking Wounded_ (Virgin, CDV2803, '96, CD) や Lamb, _Lamb_ (Fontana, 532 968-2, '96, CD) のような、歌声と背景音の絶妙な 掛け合いが聴かれるわけではない。むしろ、若干単調なくらいかもしれない。 背景のトラックの音も鋭さよりも甘さを感じさせるものだし。 この作品の一番の魅力は、むしろ、Louise Vertigo の歌声かもしれない。UK発の breakbeats をトラックにした女性歌手の歌声の多くは、エキセントリックともいえる 個性的な歌声か soul 系のものだか、Louise Vertigo の歌声はそれとは違う。 もちろん、French pop 女性歌手にイメージされがちな甘ったるい声でもない。 むしろ、伸びやかに歌われる歌声は、その声の響きといい MPB (Brasil のポップ) っぽいような気がするのだ。Gal Costa を薄めた (悪い意味ではない) ような。 それと、甘い breakbeats の取り合わせは、確かに緊張感をもたらすものではないし、 聴き流していて丁度いいくらいなものかもしれないけれど、それが気にいっている。 98/5/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕