現代音楽は、音盤、コンサートともにたいして聴いてきているわけでいない 僕ですら知っている、英国の現代音楽専門弦楽四重奏団 Arditti String Quartet。 Montaigne レーベルからの The Arditti Quartet Edition シリーズは、20世紀の 様々な作曲家の作品を取り上げてくれるありがたいシリーズで、気が向くと買って みることが多い。そんな4人組の演奏を偶然生で観ることができた。当日券なのに、 6列目の中央、という絶好の席に座ることができた。つまり、客の入りはよく無い。 Composium 1998 - Arditti String Quartet: 20世紀最前線II 東京オペラシティコンサートホール, http://www.nttprintec.co.jp/TOCCF/ 98/5/23 18:00- - Toru Takemitsu, _A Way A Lone_; Gyorgy Ligeti, _Streichquartett Nr.1 "Metamorphoses Nocturnes"_; Thomas Ades, _Arcadiana_; Gyorgy Ligeti, _Streichquartett Nr.2_; Alfred Schnittke, "Agitato" from _String Quartet Nr.2_ 前半2曲、後半2曲、で、アンコールで Schnittke の曲、という構成だった。 どれも初めて聴く曲ばかりのうえ、曲に関する知識が無いのでコメントし辛い のだけれど。 一番印象に残ったのは、Gyorgy Ligeti の "Metamorphoses Nocturnes"。 全体としてほぼ無調だし明確なリズムは無いのだけど、途中で、ふっと waltz が 聴こえるときがあって、そこから waltz がどんどん変化していってしまうような 展開が実に緊張感を感じさせてくれて、かっこよかった。まさに「夜の変容」と いうか。_Streichquartett Nr.2_ の方も多層的に聞こえるピチカート音が印象に 残る作品。という意味で、Ligeti の曲はいいなぁ、という印象を受けた。 ちなみに、この Ligeti の2作品の Arditti String Quartet による演奏を 一枚に納めたCDが Wergo からリリースされているよう。気になる。 さて、展開の多層性を感じさせてくれた、というと、アンコールで演奏した Schnittke の曲もそうかな。これは、今日の演目の中では、強い音を出している ことが多いと感じたとういう意味で、テンションは高かった。 Ades の曲は、完全に調性のある展開のある部分が各所に聴かれる展開なのだけど、 Ligeti の "Metamorphoses Nocturnes" で一瞬聴かれた waltz のときと違い、 調性があるときとないときが、つぎはぎっぽくて、それがいまいちに感じられた。 武満 徹 の曲は、いまいち印象に残っていない。ううむ。 普段、rock や jazz のライヴを見慣れている身としては、こういうコンサートを 観ると、意外性が少ないため、ライヴ感を欠く感じを受けるのだが。今回も、 それの感は拭えなかった。そんな中、生演奏ならでは、といえば、意外に鼻息が荒い。 音がとぎれたときに大きく息をつくようなのだが、そのときにスゥーっという音が かなり大きく聞こえた。前の方の席だからか、と思っていたが、二階席でもよく 聞こえていたということ。そっかー。 98/5/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕