再発で聴く Black Ark 時代の Lee Perry シリーズの第16回。

Lee Perry
_Produced And Directed By The Upsetters_
(Pressure Sound, PSCD19, '98, CD)
- 1)I Man Free (King Burnett) 2)Free Man (The Upsetter)
3)Zion (The Flames) 4)Zion Version (The Upsetter)
5)Bike No Licence (Easton Clarke) 6)Unlicenced Dub (The Upsetter)
7)Crying Over You (The Heptones) 8)Crying Dub (The Upsetter)
9)Financial Crisis (The Silvertones) 10)Financial Dub (The Upsetter)
11)False Teachings (Junior Murvin) 12)Teachers Dub (The Upsetter)
13)Backbiting (Winstone Heywood And The Hombres) 14)Chastising Dub (The Upsetter)
15)Houses Of Parliament (The Meditations) 16)Dub Of Parliament (The Upsetter)
17)Guide Line (George Faith) 18)Dub Line (The Upsetter)
19)Philistines On The Land (Junior Murvin) 20)Bingo Kid (The Upsetter)

On-U Suund 傘下の 70s roots reggae 再発専門レーベル Pressure Sound から、
Black Ark 期の Lee Perry 制作の音源を集めた編集盤がリリースされた。
Pressure Sound からは、以前にも Lee Perry, _Voodooism_ (Pressure Sound,
PSCD009, '96, CD) がリリースされている。

7" single の音源を10枚分そのまま収録したショーケース形式の編集盤なのだが。
今回の編集は、Island からアルバムがリリースされたような The Heptones
("Crying Over You" は _Party Time_ 収録曲だが、もちろん音の仕上がりは
Island のものより濃い。)、Junior Murvin ("False Teaching" は _Police And
Thieves_ 収録曲。やはり Island のものより音の仕上がりは濃い。"Philistines
On The Land" は、"Police And Thieves" と同じトラックを使った曲。)、
George Faith といった歌手の名曲が並んでいるくらいで、全体的にいい曲が
並んでいるように思う。それも、ゆったりとした感じの歌が中心で、とても和む
仕上がり。素直なショーケース形式の編集も、曲の良さを生かすようになって
いると思う。もちろん、Island からリリースされた曲を聴き比べれば際立つの
だが、ちょっとぐぐもったような Lee Perry ならではの音空間もいっそう
楽しめるものだ。これを聴いていると、70sの Lee Perry は、dub の魔術師で
ある一方で、名プロデューサ/ディレクターだったのだなぁ、と思える、そんな
一枚になっている。今までリリースされてきた多くの編集盤の中でも優れたもの
だと思う。

しかし、Steve Barrow が Trojan や Attack そして Island で制作した一連の
優れた編集盤をはじめ、これでもかという感じで 70s の Black Ark 時代の
編集盤がリリースされてきているのに、まだこれだけいい音源が残っているのか。
やはり Lee Perry は凄かったのだなぁ、と思う。

98/5/24
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕