John Greaves, Peter Blegvad, Lisa Herman
_Kew. Rhone._
(Voiceprint, VP200CD, '98, CD plus)
- 1)Good Evening 2)Twenty-Two Proverbs 3)Seven Scenes From The Painting
"Exhuming The First American Mastodon" By C.W. Pearl 4)Kew. Rhone.
5)Pipeline 6)Catalogue Of Fifteen Objects & Their Titles
7)One Footnote (To Kew. Rhone.) 8)There Tenses Onanism
9)Nine Mineral Emblems 10)Apricot 11)Gegenstand
12)Kew Rom (ROM)
- Music by John Greaves.  Lyrics by Peter Blegvad.  Engineered by Mike Mantler.
- Lisa Herman (vo), John Greaves (p,organ,b,vo,perc), Peter Blegvad (vo,g,ts);
Andrew Cyrill (ds,perc), Mike Mantler (tp,tmb), Carla Bley (vo,ts),
Michael Levine (vln,viola,vo), Vito Rendace (as,ts,fl), April Lang (vo),
Dana Johnson (vo), Boris Kinberg (clave)
- 1-11) originally released as _Kew. Rhone._ (Virgin, V2082, '77, LP).
- "KEW ROM" produced by Les Corsaires & Voiceprint.
Co-ordination & Concept by Francois Ducat.  Programming by Denis Thiriar.
Images Manipulations by Serge G.  Artistic Contributions from Peter Blegvad.
Musical Contributions from John Greaves & Lisa Herman.
Exegetial Contributions from Carla Bley, Andrew Cyrill, Michael Mantler,
Harry Mathews & Robert Wyatt

77年にリリースの John Greaves & Peter Blegvad がらみの名作 _Kew. Rhone._ が
再CD化された。(91年に Virgin から一度CD化されているが現在廃盤。) それも、
CD plus 仕様で。

この音源がリリースされたのは、Henry Cow / Slapp Happy, _In Praise Of Learning_
(1975) がリリースされた後。その後の一連の John Greaves & Peter Blegvad の
共演の先駆けともいえるものだ。Micheal Mantler & Carla Bley や Andrew Cyrill
(ex-Cecil Taylor's band) といった Canterbury 系とも Recommended 直系 とも
言えないミュージシャンが参加している、というのも、この作品を面白くしている
理由ではないかと思っている。この録音は New York でなされており、US盤は
Celluloid からリリースされていたという観点で見ると Micheal Mantler & Carla
Bley が Watt / ECM でやってきたことと Material や The Golden Palaminos、
さらに Hal Wilner あたりを繋ぐものともいえる。

といっても、それほど jazz の色もそこそこに、変拍子と変調の多さで緊張感を
出すやり方は、まあ、Canterbury っぽいとも言える。あと、女性歌手 Lisa Herman の
ちょっとファニーな歌声も (いささかステロタイプかもしれないが)、やはり印象に
残るものではある。そんな中、ポップな感じも充分に残している。

さて、Voiceprint による再CDリリースは CD plus (enhanced CD とも言う) 仕様と
なっている。このデータ部分は PC, Mac どちらでも見ることができる。これが、
かなり丁寧な作りでとても楽しめるようになっている。オリジナルのジャケット
デザインの手掛けていた Francois Ducat がコンセプト作りをしており、その音楽の
内容に見合ったものになっている。このアルバムの制作に参加したアーティストに
"What is the meaning of "Kew.Rhone."?" と尋ねた解答が読めるようになって
いたり。(Kew. Rhone. って Know Here のアナグラムなのかー。) Peter Blegvad の
漫画が読めたり。けど、一番面白いのは、"Pipeline" のインタラクティブな
サウンド・クリップとでもいったもの。最近は CD plus 仕様の CD は増えている
けれど、これだけ楽しめたのは Various Artists, _Freezone 4_ (SSR, SSR187,
'97, 2CD) ぶりかもしれない。

Virgin 盤のLP/CDを持っている人でも、CD-ROM を扱える環境がある人には、
是非お勧めしたい、そんな内容だ。

98/6/7
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕