Mitchell Froom _Dopamine_ (Atlantic, 83102-2, '98, CD) - 1)Tastes Good (David Hidalgo) 2)The Bunny (M. Doughty) 3)Kitsum (Lisa Germano) 4)Dopamine (Suzanne Vega) 5)Watery Eyes (Mark Eitzel) 6)Monkey Mind (Sherlyl Crow) 7)Noodletown (Steve Donnelly) 8)Wave (Miho Hatori) 9)I'd Better Not (Louie Perez) 10)Permanent Night (Jerry Stahl) 11)Overcast (Ron Sexsmith) 12)Fruta Prohibida (Mark Feldman) - Produced by Tchad Blake 90年代に入ってUSのメジャーの rock / pop シーンにおいて目立って個性的な 音作りをしてきた Mitchell Froom の自身の名義での初のアルバム。 90年代に彼が手がけてきた歌手中心に、一曲ごとに歌手もしくはソロ楽器奏者を 一人据えて、制作したアルバム。歌詞と主旋律はそのフィーチャーされた ミュージシャンによるものというクレジットもあり、実際に聴いても、例えば Hal Wilner や Kip Hanrahan の制作するアルバムと比べて、全体としてがっちり 制作されたという感はない。といっても、歌手の歌や奏者のソロをぐっと表に 出したような音作りがなされているわけではない。 Mitchell Froom の音作りは、ブレイクのループやエコーのような各種音処理や 様々な効果音を加えていくものであり、dub や hip-hop の音作りとの共通点が多い。 このアルバムにしても Mitchell Froom の制作した pop / rock 曲の dub version を集めた dub アルバム、という感すらあるのだ。 オープニングが David Hidalgo (Los Lobos, Latin Playboys) ということもあってか、 Latin Playboys, _Latin Playboys_ (Slash / Warner Bros., 9 45543-2, '94, CD) に近い。思えば、Suzanne Vega "99.9F" (A&M, 314-540 005-2, '92, CD) や "Kiko" (Slash / Warner Bros., 9 26786-2, '92, '92) から5年以上経つわけで、 こういった作品から当時に感じた意欲的、実験的な試みというのとはもはや違う、 スタイルになっているのだなぁ、とも思う。そうか、もはや集大成を作るときに 来ているのかなぁ、とふと思ってしまった。こういう音作りは嫌いではないのだが、 展開という意味ではこれからどうするんだろう、とか、ふと思ってしまった。 まあ、音作りの実験性が興味深い、というより、その dub 的なサウンドが面白い そんな作品だろう。 98/6/17 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕