The Pop Group _We Are All Prostitutes_ (Radarscope, SCANCD31, '79-80/'98, CD) - 1)We Are All Prostitutes 2)Blind Faith 3)Justice 4)Amnesty Report 5)Feed The Hungry 6)Where There's A Will 7)Forces Of Oppression 8)Spanish Inquisition 9)No Spectators 10)Amnesty Report II - 1,4) originally released as _We Are All Prostitutes_ (Rough Trade, RT023, '79, 7"). 2,3,5,7,9) originally released as _For How Much Longer Do We Tolerate Mass Murder_ (Y, Y2 / Rough Trade, ROUGH9, '80, LP). 6) originally releases as The Slits, _In The Beginning There Was Rhythm_ / The Pop Group, _Where There's A Will_ (Rough Trade, RT039, '80, 7") 8,10) originally released as _We Are Time_ (Y, Y5 / Rough Trade, ROUGH12, '80, LP). ゴダールはこの映画のために、自由と責任についての彼のモットーをモンテーニュ から借用する―「あなた自身を他人に与えなさい。あなた自身をあなた自身に 与えなさい」。売春婦の生涯は、むろんのこと、自分を他人に与える行為の最も ラディカルな隠喩 (メタファ) である。 --- Susan Sontag on Jean-Luc Godard's film _Vivre Sa Vie_. 「僕らはみな売春婦だ "We Are All Prostitutes"」という、この The Pop Group の シングル曲で歌われる「売春婦」が、Godard がその映画『男と女のいる舗道 _Vivre Sa Vie_』('62)、もしくは、『彼女について知っている二、三の事柄 _Deux Ou Trois Choses Que Je Sais D'Elle_』('67) において示した「売春婦」に 相当しているならば、このシングル曲から題名をとったこのCDでの、dubwize と いうにはあまりにズタズタなミックスは、Godard の (特に60年代末からの) ズタズタな画面・音声の編集に相当している。それは、あからさまな政治的な メッセージを結局のところは異化してしまうという意味においてだ。 70年代末の脱 punk 期の Bristol で、dub の破壊的な音処理や、funk や reggae の リズム、free jazz 〜 improv. の展開の自由さなどに影響を受けて、rock を徹底的 に脱構築してみせた、その音がこのCDに詰まっている。特に、今までCD化された ことがなく、入手が困難になっていた7"シングルの音源が、このCDに収録されて いるのが嬉しい。表題曲 "We Are All Prostitutes" やそのB面 "Amnesty Report" での Tristan Honsinger の free な cello の響きや、"Where There's A Will" での冷たい funk に、耳を傾けて欲しい。 このCDの音源は Rough Trade / Y 時代の2枚の7"シングルと2枚のアルバムから集め られているのだが、リリースは活動を再開した Radarscope レーベルから。アルバム 2枚の音源がすべて収録されていないのは、少し残念ではあるが。このレーベルは、 一年前に 1st アルバムに先行シングル曲を加えた再発盤 The Pop Group, _Y_ (Raderscope, SCANCD14, '79/'96, CD) もリリースしている。こちらも "Theives Of Fire" や "We Are Time" といった名曲を含む、Dennis Bovell 制作の名盤だ。 未聴の人は、併せて聴いてみて欲しい。 98/6/21 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕