John Tye が London の Scratch というスペースで開催しているイベント Extreme Possibilities Live And In The Mix に関連する音源をリリースしてきている Lo Recordings。年一枚のペースでリリースされてきた編集盤シリーズの、去年 リリースされた第4弾 Various Artists _Further Mutations - Lo Recordings Vol.4_ (Lo Recordings, LCD05, '97, CD) は、Luke Vibert や Bedouin Ascent に交じって Robert Wyatt の歌声を フィーチャーした曲や Thurston Moore meets Eugene Chadbourne の曲が入って いたものの、あまり新鮮さが無く、このシリーズの展開としては若干マンネリ化 してきてしまったような感もあった。この後、このUS編とでもいえる Various Artists _Altered States Of America_ (Lo Recordings, LCD07, '97, CD) という編集盤もリリースされたが、それもとりとめのないものであった。そんな Lo Recordings から、編集盤ではないアルバム (これが初めてではないが) が リリースされた。 Echo Park _The Revolution Of Everyday Life_ (Lo Recordings, LCD08, '98, CD) - 1)Atomium 2)Neeled 3)Ex Novo 4)Aum (Aum) 5)The Sound Of Money 6)Inocent X 7)Razorkiss 8)Sky Torn 9)Sandite Vehicle 10)Air Victim 11)Liquids And Shadows 12)Eugenics 13)Insect Armageddon - Produced by John Tye - Spykid (loops,scratches,keyboards,electronics), John Tye (guitar,bass,keyboards,programs,electronics); Thurston Moore (treated guitar) on 2,3; Sarah Peacock (treated guitar) on 6,7; Daren Seymour (treated guitar) on 7; Robert Hampson (treated guitar) on 4; Jay Burnett (treated guitar) on 7; Jason Butler (fuzz bass) on 6; Wendy Harper (vocals) on 8; Laia Gasch (voice) on 4; Wilbo Wright (bass arrangements) on 5 DJ Spykid と John Tye の2人によるプロジェクトのアルバム。基本的に breakbeats なのだが、生音っぽい。それに、ゲストとして、Thurston Moore (Sonic Youth)、 Sarah Peacock & Daren Seymour (Seefeel, Scala)、Wilbo Wright (Ui) といった ミュージシャンを音響処理した guitar (もしくは bass) 奏者としてフィーチャー している。といっても、Third Eye Foundation ほど派手にではないが。その結果と して、むしろ out rock 的な感触も強い作品になっている。キメの瞬間には欠ける ように思うし、もっとポップな面があってもいいように思う。フィードバック・ ギターの音から、ポコポコしたかわいいリズムが入ってくる "Inocent X" みたいな 曲など、かっこいいし。"Razorkiss" で聴かれる凛とした女性ヴォーカルは、 クレジットはされてないが、たぶん Sarah Peacock。 全体として一連の編集盤をよく消化した作品になっているように思う。もはや、 John Tye にとっても、シーンにしても「異種混交」とか編集盤を作っているような 段階は終わったのかな、という気にもなった、そんなアルバムだ。 98/7/5 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕