Rhythm & Sound with Tikiman _Showcase_ (Burial Mix, BMD-1, '98, CD) - 1)Never Tell You 2)Never Tell You (version) 3)Spend Some Time 4)Spend Some Time (version) 5)Ruff Way 6)Ruff Way (version) 7)What A Mistry 8)What A Mistry (version) 9)Why 10)Why (version) Berlin の minimal techno のレーベル Basic Channel 〜 Chain Reaction の 主催者 Moritz von Ozwald (a.k.a Maurizio) と Mark Ernestus が、カリブの Dominica 出身 Berlin 在住の歌手 Tikiman (ジャケット写真を見ると黒人系の ようだ。) をフィーチャーしての reggae 風プロジェクト。ここ2年ほどの間に Basic Channel 系のレーベル Burial Mix からリリースしてきた5枚の10"singleを CDにまとめたものだ。 reggae といっても、強いて言えば new roots / digi roots に近い感触がある という程度で、実際のところは downtempo な minimal techno と言うべき音だ。 だた、downtempo で高音部のリズム装飾が少ない分だけ、ブーゥンと響く低音が dubwize に聴こえる。Basic Channel 系の minimal techno は、もともと dub 的な要素があったと思うが、Rhythm & Sound はその部分を拡大した感がある。 reggae 風の色を付けているのは、むしろ Tikiman の歌声で、_Showcase_ という 題名から明らかなように、歌ものとその version が交互に収録されている。 Tikiman の歌声は Massive Attack での Horace Andy 風 の sleepy な感じだ。 元となる曲が既にかなりエフェクトかかっているので、version は歌声抜きと いうものに近い。断片的な歌唱が散りばめられたという感のものだけでなはく、 "Spend Some Time" のようにちゃんとした歌という感じのものまである。 minimal で electro-acoustic な techno に歌手をフィーチャーしたものというと、 Pan Sonic meets Suicide な Vainio / Vaisanen / Vega, _Endless_ (Blast First, BFFP147CD, '98, CD) というものが最近リリースされたが、こちらかアッパー系と したら、この Rhythm & Sound with Tikiman の downtempo で dubwize な曲と sleepy な歌声はダウナー系といったところか。もちろん、どちらもお勧めだ。 Basic Channel は'92年頃に活動しはじめたレーベルだが、9枚の12"をリリース した後、9クレジットもほとんど無い紙パッケージの編集CDをリリースして95年に 活動停止。その後を受けるように、Chain Reaction レーベルの活動が始まった。 Chain Reaction は12"だけでなく、その特徴的な缶ケースのCDもリリースしている。 ちなみに、Basic Channel のCDは Chain Reaction と同じ缶ケース入りで再発 されている (Basic Channel, EFA11110-2, '95, CD)。また、ほぼ平行して97年 まで Maurizio の M シリーズの12"が8枚リリースされているが、この編集CDも 缶ケース入りでリリースされている (M, EFA22222-1, '97, CD)。Chain Reaction 関係で、現在、活動中のレーベルとしては、この Rhythm & Sound with Tikiman をリリースしている Burial Mix の他、Rhythm & Sound、Imbalance がある。 98/8/2 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕