Porter Ricks _Porter Ricks_ (Mille Plateaux, MPCD42, '97, CD) - 1)Explore 2)Redundance 5 3)Exposed 4)Scuba Lounge 5)Redundance (Version) 6)Redundance 6 7)Spoiled 8)Redundance 1 9)Redundance 3 10)Spoil 11)Dacay Chart - All tracks created by Thomas Koener and Andy Mellwig Basic Channel の跡を継ぐ Berlin のレーベル Chain Reaction のCD第一弾 (Porter Ricks, _Biokinetics_ (Chain Reaction, CRD-01, '96, CD)) を飾った Thomas Koener と Andy Mellwig の dubwize な minimal techno ユニット Porter Ricks の新作は、先行する 12" single や Thomas Koener のソロ同様、 Frankfurt の実験的な techno 〜 breakbeats のレーベル Mille Plateaux から。 脈動するような低音からなる曲ももちろんあるが、レーベルを移籍したから ではないだろうが、"Explore" や "Exposed" のようなはっきりした uptempo な リズムを持つ曲も収録されており、そのメリハリも格好良い作品になっている。 その updempo な曲は、引き摺るようなベースラインと相対する、金属音っぽい 高音部がギターのカッティングのようで、ふと、80s New Wave (もしくは goth) と似た緊張感もあるような気がしてしまった。そういう点は、脈動するような minimal な音の魅力とは相反するのだ、CDの中では互いの魅力を強調するように 共存しているように思う。 Vainio / Vaisanen / Vega, _Endless_ (Blast First, BFFP147CD, '98, CD) や Rhythm & Sound with Tikiman, _Showcase_ (Burial Mix, BMD-1, '98, CD) と 併せて、脱 minimal 的なものも感じる、そんな作品かもしれない。 Porter Ricks や Rhythm & Sound with Tikiman と同じく、Basic Channel 〜 Chain Reaction 界隈の新作をもう一枚紹介したい。 Pole _CD1_ (KiffSM, KIFF012CD, '98, CD) - 1)Modul 2)Fragen 3)Kirschenessen 4)Lachen 5)Berlin 6)Tanzen 7)Fremd 8)Paula 9)Fliegen - All tracks written and produced by Stefen Batke 盤質の悪さについては評判高い(!?) Basic Channel 系レーベルのダブプレート やマスター・レコードのカッティング・エンジニア Stefen Batke のソロ プロジェクトが、この Pole だ。 CDにもかかわらず、いきなり、ジリジリジリピシッジリジリジリピシッという レコード針のトレース音が大きく聴こえる。他にもジジジジというノイズなども 用いられている。といっても、今では、techno 〜 breakbeats 系の音楽だけで なく主流の rock 〜 pop ですら、そんな音を「アナログ・レコードっぽさ」を 演出するために使っている。しかし、このCDでは、もはや「アナログ・レコード っぽさ」を出す効果音ではない。かといって、そういうノイズを主役に据えた 音でもない。ピキー、コツッっという高音やブーンという低音と対等に扱わ れている。このバランスが面白い作品だ。こういう音の階層を巧く組み替えた 音作りというのは、Basic Channel などを手掛けてきたエンジニアならでは なのかもしれない。 ここではCDを紹介しているが、もちろん、アナログもリリースされており、 その題は _LP1_ となっている。未聴なので、こちらでどのような音作りをして いるのかは、わからないのだが。 しかし、Chain Reaction もしくはその界隈のレーベルからリリースされず、 それも KiffSM からリリースされたのは、少々意外だ。ちなみに、このアルバムを リリースしている KiffSM は、post-rock 的な electronic pop を演奏するバンド Kreidler も在籍する Humburg のレーベルだ。 98/8/25 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕