Dagmar Krause + Marie Goyette 法政大学学生会館大ホール 98/9/19, 19:00-21:30 - Phew (vo), 大友 良英 (turntable,electronics), Dennis Gunn (g); Dagmar Krause (vo), Marie Goyette (sampler,vo) カルト的なポップバンド Slapp Happy の歌手として知られ、30年近く活動をして きている Dagmar Krause の初来日。ちょっとファニーな感じもする個性的な 歌声がその魅力だ。僕にとっても、長らくレコードで追いかけてきた大好きな 女性歌手の一人で、楽しみにしていたコンサートだ。 前座は Phew + 大友 良英 + Dennis Gunn のトリオ。Phew も80年頃に日本の インディから出てきたカルト的な人気のある女性歌手だし、僕も好きなのでこちらも 楽しみにしていた。6月末に Star Pine's Cafe で観た『秘密のナイフ』のバンド でのライヴでは、畳み掛けてくるような圧倒感があったのだが。このライヴでは、 Dennis Gunn の感傷的な感じもあるギターのコード弾きと大友の出す音響の作る 空間に歌い込む、という感じ。リラックスした感じではないけど、"Vaya Con Dios" とか歌ったり、と、ちょっと趣向を変えた感もあり。Phew の黒いミニマルなワン ピース・ドレス姿に上げた髪も、ちょっとフォーマルな感じだし。しかし、歌い方が 平板なのが、こういう時は逆効果かな、と思うところも。1時間ほどのライヴだった。 しばらくの休憩の後、Dagmar Krause + Marie Goyette の登場。Dagmar Krause も 黒のミニマルなワンピース・ドレス姿だった。ただ、ひざ上の丈のせいか、ずっと 可愛らしい感じ。レコードでの写真からは神経質で無表情そうな印象を受けていた のだが、立ち振る舞いもちょっと可愛らしく、Marie Goyette と目配せしながら 表情に茶目っ気も感じさせながら楽しそうに歌う Dagmar Krause が印象的だった。 しかし、歌声は、レコードで聴いてきたその声。それも、よく通る。内容は、 クラッシック〜欧米の映画音楽のネタをカットアップした Goyette の sampler が 作り出す音を背景に、Krause が英独仏伊語を駆使して歌う、というもの。 アンコールでは片言の日本語でも歌ったが。言葉がよく分かれば、もっと楽しめた だろうなあ、という内容であった。まあ、あの Dagmar Krause の歌声がどのような 感じで発せられているのか、生で見られただけでも、満足だけれども。 だだ、舞台上で表情豊かに歌う Krause を観ていて、Brecht / Weill の歌や 20s の欧州のキャバレーソングとか歌うところを観てみたくなってしまった。 そう、法政学館のがらんとした空間ではなく、こじんまりしてちょっとシャレた バーのような空間なら、Phew の "Vaya Con Dios" も楽しめたかもしれないし、 そういうところで、Brecht song を歌う Dagmar Krause を生で見られたら、 とってもいいだろうなぁ、と思ってしまった。そういう意味では、ちょっと不完全 燃焼したライヴだった。 98/9/19 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕