Kevin Drumm with 杉本 拓 ギャラリー伝, 経堂 98/9/22, 19:00-20:30 Chicago を拠点に活動する prepared guitar 奏者 Kevin Drumm と、音数の少なさを 特徴とする guitar 奏者 杉本 拓 のコンサート。 会場の ギャラリー伝 (Galerie de Cade Den) は経堂の南口、農大通りを抜けた先に にある、カフェ併設の画廊。阿佐ヶ谷にある 西瓜糖 と似たところがあるのか、 西瓜糖へ行くとかならず展覧会のポストカードが置いてある。また、即興系の音楽の ライヴの会場にもよくなっているので、気になってはいたのだけれど、足を運んだ のは初めて。ちなみに、Taku Sugimoto, _Opposite_ (hatNoir, 802, '98, CD) の 録音もここで行われている。 1階は展示もできるカフェ、といった作りで、西瓜糖と近いか。2Fは、登る階段も 急で、天井の高い屋根裏という感の空間。ここも展示スペースなのだが、ライヴも この空間を使って行われた。この日は、森本 誠士『plaited cord』というサウンド・ インスタレーションの展示で、ちょっとしたライヴ前座という感じもあった。 台風のため、開演前は風雨。演奏者の知名度も高くないし、それほど馴染みやすい 音ではないと思うが。それにもかかわらず50名近い客が入っていたのは、驚きだ。 Kevin Drumm は通常の意味での guitar 演奏は行わなかった。楽器が guitar で ある必然性をほとんど感じさせない、音の出るオブジェ的な扱いで演奏を行った。 演奏を初めて暫くは、そのガサゴソという音を出す振る舞いとその音の間に関係が わからなく、杉本 の出している音と Drumm の音の区別もよくわからなくなって しまい、何をやっているのだろう、という不思議な面白さもあったのだけれど。 休憩を挟んだ後半、操作と音の関係が見えてしまった感もあって、そのガサッゴソッ キリリリとアンプで増幅された音も、ちょっと興醒めという感もあった。演奏は、 延々と続けてやるというより、こまめに区切るもの。といっても、区切りの前後で 大きく展開が変る、というものではなかったが。あと、配線のグラウンドがちゃんと 取れていないときに出るジジジという音が始終スピーカーから鳴っていたのが、 ちょっと気になった。多分、わざとだとは思うのだけれど。しかし、音数が少ない 杉本 拓 だから、こういうガサゴソといった音でも聴かれるけれど、人数も多い 演奏の中では埋もれてしまいそうな気がするのだが。 一方の 杉本 拓 は、やはり、ポーン、ポーンもしくはトトトと音数少なく弦を 響かせる演奏が主なのだが、たまに低くワーンとハウリングさせるかのような音を 使ったり。ちょっと、Kevin Drumm の出す音の大きさに合わせすぎかな、と思う ときもあったが。 途中で休憩を取った直後、Drumm、杉本の順でソロがあったのだが、杉本のソロの ときに、弱めの guitar の響きに、外の激しい風の音が引き立てられるような 感じがして、今日のライヴの中でもっとも印象的な音が聴かれたような気がした。 98/9/22 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕