Maria Joao - Mario Laginha _Cor_ (Verve, 557 456-2, '98, CD) - 1)Horn Please 2)Ha Gente Aqui 3)Rafael Ou A Cor De Mocambique 4)Nazuk 5)Saris E Capulanas 6)Preto E Branco 7)Charles On A Sunday With Sunday Clothes 8)Nhlonge Yamina 9)A Forbidden Love Affair - Produced by Reinhard Karwatky + Wolf Dieter Karwatky - Maria Joao (vocals,voice percussion), Mario Laginha (piano), Wolfgang Muthspiel (electric + acoustic guitar,electric sitar-guitar), Trilok Gurtu (drums,tabla,balafon,percussion,voice percussion) ピーピーいう車の警笛の音と音数少ない piano の音を背景に「はぁ〜ぅ〜ん」と ため息のような声で Maria Joao が歌い出す1曲目の、その妙に色っぽい始まりで ぐっと引き込まれる。そんなアルバムだ。 大航海時代が始まろうという1484年にポルトガルの Vasco Da Gama によって インド航路が「発見」されるわけだが、そういうボルトガルの文化の道としての モザンビークからインドに到るインド洋をテーマにしたアルバムで、ちょっと 植民地主義っぽいところは退くところもあるが。ちなみに、このCDに収録された 音楽は、Expo '98 Lisboa のポルトガル・パビリオンのために委嘱されたもので、 このインド洋というテーマは、パビリオンのテーマであるらしい。聴いていて 映像の付随音楽的な印象も受けるのだが、もしかしたらパビリオンで上映される 映画のための音楽なのかもしれない。 Maria Joao はスキャットやヴォイス・パフォーマンスが主なのだが、それだけ でなく、いくつかの曲では歌を歌っている。けど、ヴォイス・パフォーマンスの 方が良いだろうが。sitar-guitar や tabla が用いられてはいるが、あまりインド 風の展開はない。piano と voice による「奇麗」な音楽だ。 一年前に Ralph Towner や Dino Saluzzi をゲストミュージシャンに迎えて Maria Joao, _Fabula_ (Verve, 533 216-2, '96, CD) というアルバムを出している のだけれども、音作りが甘く下品な感じがしたのだが。ECM 的な展開を期待して いたこともあり少々残念だったのだが。しかし、_Cor_ は格段に録音が良くなって いて音が立体的に聴こえるだけに、そういった下品さも感じなくなっている。 特に B.G.M. として流していると、とても気持ちいい音になっている。 98/11/8 嶋田 Troug Fishing in Japan 丈裕