Robert Ashley, _Dust_ 神奈川県立音楽堂 (桜木町) 98/11/15, 15:00-17:00 - Sound directed by Robert Ashley. Space directed by 吉原 悠博 - Robert Ashley (vo), Sam Ashley (vo), Thomas Buckner (vo), Jacqueline Humbert (vo), Joan La Barbara (vo), "Blue" Gene Tyranny (electric piano), Tom Hamilton (electric orchestration) 第5回神奈川芸術フェスティバルが Robert Ashley に委嘱した「オペラ」の公演 なのだが、いやな予感が当たって退屈だった…。 おそらく、意図的に音楽にポピュラー音楽の要素を用いているのだと思うのだが、 それが逆効果。最初のうちは、electric piano が安っぽいTV番組の B.G.M. に 使われていそうな感傷的なメロディーを奏でる中、5人の登場人物がそれぞれ順に テキストを朗読していくというもの。それが一通り終わると、今度は、歌になる のだが、これが、甘いアレンジの遅目のテンポのポップスというもの。 それでも、何かはっとさせるような展開があれば違うのかもしれないけれど、 ずるずると繋げているという感し。 ステージ上のパフォーマンスや映像がそれを裏切っているかというと、それほど 強烈な違和感のあることはなかった。映像は適度な B.G.V. という感じ。 人の丈ほどの高さのガラス板の上に、ビデオ・モニターが乗っているような 衝立ての裏で歌い手は歌っているのだが、ガラス越しに見える歌い手も、派手な 動きをみせることなく、いささかの手振りをしながら、歌い語るだけ。ヴィデオ・ モニターには、舞台背景に投影されている映像とほぼ同じだが若干違う映像が 映し出されていた。ガラス板は、磨りガラス状になったり透明になったりする特殊な ガラスで、その向こうにいる歌手もはっきり見えたりシルエットがなんとか見える 状態になったりしたのだが、それが妙に生気を削いでいて、まるで、歌い手も ヴィデオ映像のような印象を受けた。それが、唯一面白いと思ったところだろうか。 ポピュラー音楽においても、それはそれで様々な試みが行われているわけで、 それを「オペラ」という文脈で半端にやったからといって、「オペラとしては 画期的」というものでもないだろう…。 98/11/15 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕