Say No More 世田谷美術館, http://www.setagayaartmuseum.or.jp/ 98/12/13, 15:00-17:00 - Mark Dresser (contrabass), Gerry Hemingway (drums), Phil Minton (voice), Bob Ostartag (sampler) sampling や live electronics の演奏で知られる Bob Ostertag のプロジェクト Say No More (Bob Ostertag, _Say No More_ (RecRec, ReCDec59, CD) をはじめ 3枚のCDをリリースしている。) のライブが行われた。2年前に Music Merge Fest で観た Ostertag のソロは良い出来だとは思わなかったのだが、Anthony Braxton Quartet などで知られる Mark Dresser & Gerry Hemingway のリズム隊を目当てに、 ということで、聴きに行ってきた。 前半は作曲作品、休憩を挟んで後半は即興、で最後にアンコールで短く鋭い曲を 一曲、という構成だった。ステージ上の配置は向かって左から Minton, Hemingway, Dresser, Ostertag。 作曲作品の最初、Ostertag が他の3人の出す小さ目の音を live electronic で 弄った音を流していたときは、ちょっといやな予感がしたのだけど、それが一段落 ついて、生音でのリズムが一度バシッっと入った後は、全体としても引き締まった 演奏になった。やはし、良いサイドメンがいると違うな、と思うところも。 Ostertag の sampling / live electronics の使い方は、同時的に音を弄るという よりも、ソロが一段落した後に、それにレスポンスを付けるように加工した音を 付ける、というものが目立った。それが、対話的というかコール & レスポンス的で 面白かった。 パンマスの Ostertag の色もあるのだろうが、Dresser & Hemingway はあまり jazz のイディオムを感じさせるリズムを叩き出すことはなく、それは物足りな かったかもしれない。Dresser はあまり奇抜なというか変則的な演奏をせず、 ブンブンゴーゴーと太い音を着実に繰り出す感じが良かった。一方の Hemingway は 体を大きく揺らしてドラムと叩くという感じで、レコードで聴いてクールな演奏を 想像していただけに、意外だった。後半の即興の前半はドラムセットに座らずに セットの脇や後ろでごそごそと音だししたり、と、なかなかドラミングが堪能 できなかったのだけど。後半の終了間際にどっと盛り上がったとき、そして、 アンコールのときに強烈なリズムを楽しむことができた。 Minton は最初は白シャツにサスペンダをして、他の3人のアメリカ人の中で、 イギリス人っぽさを醸し出していたが。口笛は使っていたが、喉笛のような技は 使っていなかったように思う。唸り声と鳴咽するような声が中心。フリーキーな 抽象的な人声は、意外とフリーキーなサックスの演奏にも近いかもしれない。 振る舞いも少々ユーモラスなのだが。特に、後半の即興のとき、中央にしゃしゃり 出てソロを取ったとき、客の受けを取っていた。 前半の作曲作品を聴き終わったときは、ノリが良くなってきたところで Ostertag が演奏を止める指示を出したりすることもあって、もっと即興で行って欲しいと 思ったところもあったが、即興を聴き終わってみると、作曲作品における対話的な 部分とか巧く構成されていたな、と思うところもあった。 しかし、Bob Ostertag が Anthony Braxton's Creative Orchestra で活動し始め てから20年余り。Minton を除く3人は、いわゆる Braxton's children とも言える 人たちでもある。Braxton の70sの試みの20年後の展開はこうなるか、と感慨深い ものもあった。 98/12/13 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕