Pierre Boulez / Ensemble InterContemporain _Repons / Dialogue De L'Ombre Double_ (Deutsche Grammophon, 457 605-2, 1998, CD) - 1)Repons (1981-84) 2)Dialogue De L'Ombre Double (1985) - Recorded in the cite de la musique, salle des concerts, Paris, 1996/9. Produced in collaboration with IRCAM. Electro-Acoustic Realization: Andrew Gerszo. - 1)Dimitri Vassilakis (piano I), Florent Boffard (piano II), Frederique Cambreling (harp), Vincent Bauer (vibraphone), Daniel Ciampolini (xylophone,glockenspiel), Michel Cerutti (cimbalom), Ensemble InterContemporain conducted by Pierre Boulez. 2)Alain Damiens (clarinet) Pierre Boulez は現代音楽の作曲家というより、指揮者としての方が、知られて いるように思うが。1995年に日本初演された (僕は観ていないが。ちなみに、 世界初演は1981年。)、近年の Pierre Boulez の名曲との噂も聞く "Repons" が、 CD化された。日本公演で同時に演奏された "Dialogue De L'Ombre Double" も 収録されている。 ライナーノーツによれば、"Repons" ではアンサンブルの他に6人のソリスト、 "Dialogue De L'Ombre Double" では clarinet のソリストのみ、が配され、 そのソリストの演奏をコンピュータで処理し、会場に客を取り巻くように配置 された6台のスピーカーを使って、その音像を会場じゅう動き回らせる (アンサンブルについては行っていないよう。)、ということを、この2つの作品 では行っている。以前からそういう噂を聞いていたので、曲そのものより、 それがCDでどう録音されているのかとても興味があった。 CD化において、IRCAM で開発された Spatialisateur というソフトウエアを使い それを再現しようとした、とあるのだが、実際に聞いても音像ぐるぐるという わけではない。そういうこともあってか、"Repons" よりも "Dialogue De L'Ombre Double" の方が音数が少ない分に、生の演奏と電子音響処理された音との「対話」 が聞き取りやすく、面白いかもしれない。 このCDには、限定の "Special Headphones Version" があり、ブックレットに付いて いる券を Deutsche Grammophon に送付することによって、入手することができる。 Pierre Boulez / Ensemble InterContemporain _Repons / Dialogue De L'Ombre Double (Special Headphones Version)_ (Deutsche Grammophon, 445 186-2, 1998, CD) こちらはバイノーラルで録音されているのかと期待したのだが、そうとは思えない 音だった。通常ヴァージョンに比べて、若干、音の広がりが広く感じられるだけ だった。ちょっと残念。ま、曲が面白いのが救いか。 しかし、例えば、Wergo からリリースされている Edition ZKM のシリーズの気持ち 悪いまでの立体感から比べて、遥かに聞き劣りする音作りだ。Wergo / ZKM の録音で こういう立体的な音作りが可能なのだから、技術的な問題ではないと思いたいが…。 1999/1/31 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕