Mad Professor, "No Protection Under Groove" Liquid Room, 新宿 1999/2/5, 20:00-29:00 - Karafuto; Mad Professor feat. Noran Irie; etc 実に踊れないイヴェントだった。それは、寒さで着膨れ気味で、身動きしづら かっただけではないように思う。当日券に対しては入場制限を行っていたし、 ドリンクカウンター回りとかはかなり混雑していたけれど、フロアは踊れない というほどではなかったと思う。 タイムテーブルがわからないまま、会場に入ったのは24時半頃。Dry & Heavy とかは既に終わってしまっており、既に Karafuto (田中 フミヤ) のセット。 techno ではなく、フロアからは、いわゆる「前衛」系の techno / break beats の音が響いている。低音の出方といい音はそんなに悪くなかったように思うの だけれども、drum'n'bass ぽかったり electro / house ぽかったりと、どんどん リズムを変えていく、その展開に体がついていかないという感じもあって、 どうものめりこんで踊れるという感じではない。途中、長蛇の列のドリンクに 並んだりしたこともあって、個人的に盛り上がる前にセットが終わってしまった 感じもあった。 続いて Mad Professor (Neil Frazer) 登場。feat. Earl 16 and Noran Irie と いう予定だったが、実際は MC 1人 (おそらく Noran Irie) のみ。DJ ではなく、 live dub mixing set ということで、ステージの上にスタジオ機材を持ちこんで、 その場でトラックを作っていくという趣向だ。Noran Irie が MC で「レコードも CDも使っていない、この場だけのスペシャルだ」と強調していたが、完全に一から 作っているわけではなく、既存の曲のサンプルの再構成。近作 Mad Professor, _Dubtronic_ (Ariwa / Mazaruni, MAZ001, 1998, CD) もそういう展開だったので 予想はしていたが、類型的な reggae を極力避け、jungle になったり、いきなり R & B 風になったり。CDで聴いている限り、こういう Mad Professor の節操の 無い取り組みは評価したいところもあるのだけど、しかし、フロアでは、それが 裏目に出て散漫な感じも。しかし、踊れないのは、それよりも、その場で繰り出して くるリズムがボロボロという感じだったからかもしれない。キックの入る場所が 微妙にズレたり。Noran Irie がコンソールを覗きこむ場面も何回か見られ、生演奏が うまくいっていなかったように思う。あと、Karafuto に比べて音が悪かったのも 気になった。低音の位置が微妙に高かったし、ヴォリュームの上げ方が悪いのか、 dub のエフェクトをかけすぎか、音が歪み気味。Ariwa の dub はそのクリアさが 売りだと思うので、これでいいのだろうか…。 というわけで、Karafuto のセットも Mad Professor のセットも、腕組みしてして フロアに立ち尽くしてしまうこと、しばしであった。不完全燃焼なイヴェントだった。 もう音にのめりこめそうな気がしなかったので、Mad Professor のセットが終わった 27時過ぎには会場を出て、喫茶店で雑誌を眺めながら始発を待って帰ったのだった。 1999/2/6 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕