Autechre _Peel Session_ (Warp, WAP112CD, 1999, CDS) - 1)Milk DX 2)Inhake 2 3)Drane - Ae Production. Written by Booth/Brown. - Transmission Date: 1995/10/13 Boards Of Canada _Peel Session_ (Warp, WAP114CD, 1999, CDS) - 1)Aquarius (Version 3) 2)Happy Cycling 3)Olson (Version 3) - Written and produced by Michael Sandison and Marcus Eoin. - Transmission Date: 1998/07/21 The Black Dog _Peel Session_ (Warp, WAP115CD, 1999, CDS) - 1)Shadehead 2)Rise Up 3)Simperton 4)Rue 5)Psycosyin - Written and produced by The Black Dog. - Transmission Date 1995/01/13 Sheffield, England の techno 系レーベル Warp から John Peel Session の CDが3タイトルリリースされた。John Peel は「週4日全国的にアナーキックな 番組を流しているこの折衷的な BBC の DJ」(by Greil Marcus, 1981) で、 その番組のためにスタジオ・ライヴ・セッションが録音されている。特に punk 以降の rock の音源について、Strange Fruit レーベルを中心にレコード化 されてきている。 1990年代以降、John Peel は techno も番組で取り上げているというのは知って いたけれど、こうして Warp から Peel Session という形でリリースされると いうのも、時代を感じる。Strange Fruit が punk 以降の Peel Session を レコード化しはじめたのは1986年と、punk が勃興した1977年から10年近く 経っていた。techno も流行からそれだけたった、とでもいうことなのだろうか、 と、ちょっと感慨深く思った。といっても、1990年前後の初期の UK techno の 音源をリリースしたわけではないが。しかし、新しい何かというより、ちょっと 歴史を感じるリリースだ。 3タイトル中2タイトルは、Warp の Artificial Intelligence 系を代表する ミュージシャン Autechre と The Black Dog の、1995年の録音。_Artificial Intelligence II_ (1994) の後であり、Cornwall 派とも言われた前衛 techno / drum'n'bass の隆盛した1996年以前である。音的には前者に近い。ダンス志向 ではなく、複雑な高速ブレークビーツが走り回ったりしない、淡々とした展開だ。 rock / pop と違い、スタジオセッションだからといってライヴの生生しさが 出るわけではないが、Autechre, "Drane" の _Artificial Intelligence_ 的に 淡々とした高音部の裏でブリブリと鳴る歪んだ音など、ちょっと強調されていて、 新鮮かもしれない。 Cat.No.的には前後するが、もう一つは Boards Of Canada の1998年のセッション。 このユニットは編集盤 _We Are All Reasonable People_ (Warp, WAP100, 1998, CD) でしか聴いたことないが。生音風の dawntempo break-beats 的な音を聴かせる。 Artificial Intelligence 色が薄くなった ― といっても、それを思わせる音も 見せるが ― 最近の Warp の色を思わせる。緩い four beatっぽいリズムと、 深いエコーのかかった電子オルガン風の音が、lounge 的なニュアンスを出して いる "Happy Cycling" がよいだろうか。 Cat.No.では113番が抜けているが、Warp の web site に記述はなく、_Wire_ 誌 での広告もこの3枚が組になっている。この欠番が少々気になる。 1999/2/14 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕