David Grubbs _The Coxcomb_ (Rectangle, REC-AA, 1999, LP) - A)The Coxcomb B)Aux Noctambules - Recorded by Jean-Louis Pegorier on 98/6. - A)Stephen Prina (The Narrator), Sasha Andre (The Cowboy), David Grubbs (The Swede,guitar), Thierry Madiot (bass trombone), Didier Petit (cello,voice), Yves Robert (trombone), Quintin Rollet (alto saxophone) B)Noel Akchote (guitar), David Grubbs (organa) 2年ほど前から free jazz / improv を中心にリリースしているアナログ盤専門の France の独立系レーベル Rectangle から、ピクチャー・ディスクが出ている。 1年半前に出たピクチャー・ディスク The Recyclers accompagnent Katerine, Ignatus, Sasha Andres et Irene Jacob, _Morceaux Choisis_ (Rectangle, REC I, 1997, LP) 同様、rock / pop 寄りのミュージシャンとの企画盤とも言える内容 かもしれない。今回は、Chicago を拠点に活動し、ex-Bastro というより ex-Gastr Del Sol で知られる David Grubbs を中心とするプロジェクトだ。 A面は、明るめでミニマルな (folk というよりちょっと country 風) の acoustic guitar の演奏と David Grubbs の柔らか目の語るような歌唱が、良かった頃の Gastr Del Sol (例えば _Mirror Repair_ (Drag City, DC54CD, 1994, CD)) ちょっとはりつめた繊細さとリラックスした感じのバランスがとても良い。 あと、控えめに添えられる cello の音色やとても柔らかい音色の trombone、 bass trombone の音色が、とてものどかな感じで気持ち良いし。時折入る Sasha Andre の低めで辛辣そうな歌声も良いが。Stephen Crane (1871-1900) の 小説 "The Blue Hotel" (1898) を翻案した作品とのことだが、そのせいもあってか、 声の入り方が演劇風。musical theatre 作品、もしくは架空の original soundtrack というかそういう雰囲気もある。もちろん、そんなこと抜きに楽しめる作品だと思う。 うって変ってB面は音響。電子音響というほどハイテクな感じではなくて、かなり アナログっぽい音だ。同じような音が延々と鳴り続けているような感じではあるが、 organ の音にいくらか展開があるし、かすかにギターをつま弾く感じもあるので、 恐ろしく引き伸ばされた曲という感じもする。ambient な感もあって、ふと、 1980年頃の Brian Eno がやりそう、とか思ってしまった。ちなみに、Pierre Carre に捧げられている。 Au Bordel _Souvenirs De Paris_ (Winter & Winter, 910 029-2, 1999, CD) - Music Director: Noel Akchote. Producer: Stefan Winter. - Sasha Andres (vocals), Dom Farkas (vocals), Erico Vanzetta (vocals), Charlie O (vocals,piano,organ), Lol Coxhill (vocals,saxophone), Christophe "Disco" Minck (acoustic bass,harp), Stian Carstensen (accordion,banjo), Noel Akchote (guitar,brushes,vocals), Ernst Reijseger (cello); Francois Monnier (vocals) on 6; Erick Borelva (background vocal), Jean Lemou (background vocal) on 4; Stefania Verita (cello) on 16. Rectangle からのリリースではないが、Rectagle の中心人物の一人 Noel Akchote がディレクションをした企画盤がこれだ。Sasha Andre をはじめ、ミュージシャンの 顔ぶれも Rectangle と重なる。_The Coxcomb_ や _Morceaux Choisis_ のような 企画盤ではある。 こちらは、娼窟の音楽とでもいうコンセプトのようで1920年代の cabaret song から、 映画音楽や Serge Gainsbourg の歌まで。ブックレットのクレジットにストリップ ティーズの名が挙げられていて、写真を見ると彼女たちの間で演奏するという コンセプトのステージでもしているのだろうか。 パフォーマンス的に意味があるのかもしれないが、音だけ聴いていると、ちょっと 退屈かもしれない。 1999/4/25 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕