The Gist _Embrace The Herd_ (Rykodisc, RCD10465, 1999, CD) - 1)Far Concern 2)Love At First Sight 3)Fretting Away 4)Public Girls 5)Clean Bridges 6)Simian 7)Embrace The Herd 8)Iambic Pentameter 9)Carnival Headache 10)Concrete Slopes 11)The Long Run 12)Dark Shots 13)Four Minutes Warning 14)Light Aircrafts 15)Love At First Sight (demo) 16)Problem Attics - 1-12) Originally released as (Rough Trade, ROUGH25, 1981, LP) - 14) Originally released as B side of _Love At First Sight_ (Rough Trade, RT085, 1981, 7"). 脱パンク期のUKにおけるミニマルなポップの代表的なバンド Young Marble Giants の Stuart Moxham のプロジェクト The Gist が1980年代初頭に残したアルバムが ついにCD化された。(Rough Trade 盤LPのジャケットでは (P)1981 となっているの だけれど、実際のリリースは1983年だったらしい。) Young Marble Giants のポップのミニマリズムから、reggae / dub や African pop 方面に少し踏み出したような、しかし、その軽快さを演奏や歌唱が脱構築して しまうようなところが、いかにも、脱パンク期らしい音だと思う。その一方で、 そんな文脈抜きに、"Love At First Sight" のような素敵な曲もある。今まで、 なかなか耳にすることができなかった音源だけに、このCD化を機に是非聴いて 欲しい音源である。 このCD化にあたって、ボーナス・トラックが4曲ある。未発表曲が "Four Minutes Warning"、"Problem Attics" の2曲。シングル "Love At First Sight" のB面曲 "Light Aircraft"、そして、名曲 "Love At First Sight" のデモ版である。 "Four Minutes Warning" は The Durutti Column をもっとノリ良くしたような 軽快なギター・インストゥルメンタル曲で、それにナレーションが乗るというもの。 _Embrace The Herd_ と雰囲気が異なる気もする一方、"Love At First Sight" の ギターの使われ方との共通点も多いかもしれない。"Problem Attics" は _Embrace The Herd_ に収録されてもおかしくない音だが。 "Love At First Sight" のデモ版は、当然完成度が低く、ファン向けといった程度。 曲の原型を垣間見ることができるという意味では興味深いのかもしれないけれど。 しかし、The Gist はシングル曲が良いだけに、このCD化にあたって、The Gist, _This Is Love_ (Rough Trade, RT058, 1980, 7")、The Gist, _Fool For A Valentine_ (Rough Trade, RT125, 1982, 7") といったシングル曲が収録され なかったのが、とても残念である。 ついでだが、発禁となったオリジナルの "Love At First Sight" のシングル ジャケットを、ブックレットで見ることができる。不気味に折り曲げられた子供の 人形というモチーフに問題があったのだろうか? 1999/6/6 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕