Max Romeo _Open The Iron Gate 1973-1977_ (Blood And Fire, BAFCD027, 1999, CD) - 1)Every Man Ought To Know 2)Revelation Time / Hammer And Sickle 3)No Peace 4)Tacko 5)Blood Of The Prophet Parts 1 & 2 6)Warning Warning / Version 7)A Quarter Pound Of I'cense 8)Three Blind Mice 9)Open The Iron Gate Parts 1 & 2 10)Valley Of Jehosaphat / Version 11)Fire Fe The Vatican 12)Melt Away (12" Version) - Produced by Max Romeo 1975年に Max Romeo がセルフプロデュースしたアルバム _Revelation Time_ の 音源を中心に、その前後にリリースされた12"シングル曲を加えたものが、 良心的な活動を続けるリイシュー専門レーベル Blood And Fire からCD化された。 _Revelation Time_ に前後して、Max Romeo & The Upsetters, _War Ina Babylon_ (Island, 1976) を Lee Perry プロデュースでリリースしている。このCDに収録 されている曲も、"War Ina Babylon" と同じトラックを使った "Fire Fi The Vatican" や、その変奏曲という感じの "Open The Iron Gate" といった曲が収録されてる。 特に6〜8曲目など、Black Ark Studio で Lee Perry によって録音されたような dubwize な音処理も随所で聴くことができる。 しかし、全体としては、_War Ina Babylon_ ほど混沌とした音空間ではなく、 1973年にリリースされた一曲目の "Every Man Ought To Know" など、歌詞的には Rastafarism に関するもので roots 的ではあるが、優しく歌うようなコーラスと、 early reggae ならではのすっきり明るい感じの仕上がりになっており、 僕にとっては、そういう曲の方が新鮮だった。 続く、アルバムタイトルになった "Revelation Time" も同様の曲で、とても気に 入っているのだが。このリイシューのCDのジャケットにも、Che の写真や「槌と鎌」 のマークがあしらわれているのだが、このCDのブックレットで見ることのできる _Revelation Time_ のオリジナルのジャケットでも「槌と鎌」が使われている。 "Revelation Time" の歌詞でも「槌を振るい、鎌を砥いで!」と呼びかけているし、 dub version の題名も「槌と鎌 (Hammer and Sickle)」だ。そのため、最初2〜3回 聴いている間、タイトルを "Revolution Time" と勘違いしていたのだが、実際は、 「革命の時」ではなく「啓示の時 (Revelation Time)」なのだ。この、奇妙な、 Rastafarism と社会主義の折衷の背景について、Steve Barrow によるライナー・ ノーツに触れている。それによると、実際のところ、_Revelation Time_ は Max Romeo が社会主義から Rastafarism へ軸足を移す、その前後に録音された もとと言えるらしい。それに伴い、音も early reggae から roots に移っていく というのも、とても興味深いように思うのだが。 early reggae から roots への移行というと、他愛の無いラヴソングから Rastafarism へ、というのが強いのだけど、roots 化のもう一面を見るような、 そんな好リイシューかもしれない。 1999/6/27 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕