数年前からリリースされていたことには気づいていたけれども、最近になって 入手したリイシューCDを紹介。 Basement 5 _1965-1980 / In Dub_ (Island Masters, IMCD145, 1980/?, CD) - 1)Riot 2)No Ball Games 3)Hard Work 4)Immigration 5)Last White Christmas 6)Heavy Traffic 7)Union Games 8)Too Soon 9)Omega Man 10)Paranoiaclaustrophobia: Dub 11)Work: Dub 12)Games: Dub 13)Immigrant: Dub 14)Holocaust: Dub - Produced by Martin Hannett and Basement 5. Engineered by Chris Nagle. Recorded at Basing St. Studios 1980/8. Mixed at Strawberry Studios 1980/9 by Martin Hannett and Basement 5. - 1-11) originally released as _1965-1980_ (Antilles, AN7082, 1980, LP). 12-16) originally released as _In Dub_ (Island, IPR2038, 1980, miniLP). Basement 5 は、元 Public Image Limited で、この後 The Raincoats に参加する Richard Dudanski が在籍したことで知られる白黒混成の3人組。1980年頃に、 UKで活動していた彼らが残した唯一のアルバム _1965-1980_ と、その dub アルバム _In Dub_ を 2 on 1 にしたのが、このリイシューCDである。 1980年前後といえば、脱パンクのシーンにおいて、dub の影響が最も強かった時期 でもあり、dub 盤をリリースしていることから判るように、この Basement 5 も かなりその影響を受けたバンドだった。しかし、白黒混成ではあるが、UK reggae と いうより、むしろ、当時の "New Wave" に近い音を出していたバンドである。 Martin Hannett の制作ということで、特にギターの音などに、同時期に Hannett が 手がけていた Joy Division, _Closer_ (Factory, FACT25, 1980, LP) や Magazine, _The Correct Use Of Soap_ (Virgin, V2156, 1980, LP) との共通点を見出すことは 容易だろう。逆に聴けば、Joy Division のリードを取るようなベースの扱いは、 少なからず reggae / dub に影響を受けたものだということも判る。 Joy Division, Magazine の他、もちろん、Dadanski の在籍した Public Image Limited にも共通するような音作りなのだが、惜しむらくは、歌声が弱い。 Ian Curtis、Howard Devoto、John Lydon のような歌声とは比較にならない。 そこが、Basement 5 がメジャーになりきれなかった所以だとも思うが。 しかし、1980年前後の "New Wave" な音が好きな人なら楽しめる音だと思うし、 典型的な "New Wave" のプロデューサ Martin Hannett の音作りと reggae dub を 明らかに結ぶ数少ないドキュメントとして、興味深い音源といえるかもしれない。 1999/8/8 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕