Mark Van Hoen
_Playing With Time_
(Apollo, AMB8953CD, 1999, CD)
- 1)Real Love 2)Surrounder 3)First Steps 4)Closer Then We All Thought
5)A More Light Past 6)Once When I Was Fourteen 7)Gifts And Prizes
8)You And Me Inside 9)When Tomorrow Comes 10)Love Is All
- Written and produced by Mark Van Hoen.
- Source vocals on 1) by Holli Ashton, 10) by Lisa Millet.

London を拠点に活動する techno 〜 breakbeats のミュージシャン Mark Van Hoen
(a.k.a. Locust) の新譜は、Mark Van Hoen 名義で実質インストゥルメンタル作品。
Locust 名義での前作 _Morning Light_ (Apollo, AMB7942CD, 1997, CD) が、
多くの歌手をフィーチャーしたポップな作品だったのに比べると、地味な作品だ。
女性の声がエコーの中で浮遊するような使った曲で始まり終わっているせいか、
Jon Wozencroft のジャケットのせいか、インストゥルメンタル版 Scala (Mark Van
Hoen が制作で参加している。) という印象も強いのだが、中の曲はむしろ牧歌的と
感じるキーボード使いの曲が多く、そういう所は、Locust, _Morning Light_ の
中のスローな曲にも繋がるようにも思う。

1992-1996 の録音を集めた Mark Van Hoen 名義での _The Last Flowers From
The Darkness_ (Touch, TO:31, 1997, CD) は drum'n'bass に挑戦したりと、
粗いながらもいささか実験的な録音が多かったが、_Playing With Time_ はもっと
まとまっている。ここらは、Touch と Apollo のレーベル色の違いかもしれない。

Sneakster
_Pseudo Nouveau_
(Bella Union, BELLACD10, 1999, CD)
- 1)Whileaway 2)Fireheart 3)Splinters 4)Full Of Echoes 5)Stolen Letter
6)Trust & Blush 7)Static 8)Heavy Heat, Heavy Time 9)Sweet Melody
- Produced by Mark Clifford.  Additional production by Mitsuo Tate.
Written and Performed by Mark Clifford & Sophie Hinkley.
Except: Simon Raymond (bass) on 5); Mitsuo Tate (bass) on 8).

post-rock バンドだった Seefeel の Mark Clifford (a.k.a. Disjecta) の
新ブロジェクトは、女性歌手 Sophie Hinkley との2人組。

どうしても Seefeel 分裂のもう一方、Scala と比較してしまうし、実際に似た
ような感触の音を作っているのだけれど。Sophie Hinkley の歌声は Sarah Peacock
(Scala) よりも突き放した感じはない。これは音処理のせいもあるかもしれないが。
Scala がちょっとローファイで割れた感じに近いザラっとした音処理を多用して
いるのに対して、Sneakster はもっとすっきりした感じだ。残響も深くなくて、
薄めで音数が少ない印象を与えるが。

Sophie Hinkley の歌声があまり強い印象を残さないのが惜しいところか。
ポップだった Locust, _Morning Light_ の印象もそうなのだが、音作りがいくら
よくても、(女性) 歌手のキャッチがいまいち弱いと魅力が半減してしまう気が
してならない。

ちなみに、リリースは Cocteau Twins のレーベル Bella Union から。Cocteau
Twins の Simon Raymonde が1曲参加している。

Robin Gathrie
_Drifting A.F.U._
(Blast First, BFFP159CDE, 1999, CD)
- 1)(Silo) 2)(Silo) 3)(LaBradford) 4)(LaBradford) 5)(Charlemagne Palestine)
6)(Tony Conrad) 7)(Casper Broetzmann) 8)(Sonic Youth) 9)(Tony Conrad)
10)(Silo) 11)(Chris & Cosey) 12)(Sonic Youth / Pan American / Rothko)
- Drifting DJ mix by Robin Gathrie at september sound in 1999/8

メジャー Fontana を離れて Bella Union を設立して post-rock 界隈にシフト
してきているように思われる Cocteau Twins だが、その Robin Gathrie が DJ
mix をした限定CDがリリースされている。Richmond, VA, US の post-rock バンド
LaBradford が欧州で開催している Second Festival of Drifting (ちなみに、
First は 1998年) に合わせて企画されたCDである。

DJ mix といっても、techno 〜 breakbeats ではなく、むしろ、ビートは無く
あっても脈動する程度の音響的なものになっている。単に曲を繋げるものではなく、
かなり音を加工したもので、曲は切れ目なく一繋がりになっている。強烈な印象を
残すものではないが、いささかアンビエント的に楽しめるものになっている。

しかし、主催の Labradford を使うのはわかるとして、1980s半ば以降の分かり
やすく「耽美」な Cocteau Twins のイメージとかなり違う選曲なのも興味深い。
中で一番印象に残るのは、Sonic Youth の guitar か。SYR (Sonic Youth Records)
の一連のセッションCDのような感じになっているのだけれども。

1999/8/15
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕