Clusone 3 _Rara Avis_ (hatLOLOGY, 523, 1999, CD) - 1)The Buzzard Song 2)Acovet 3)Yellow Bird 4)El Condor Pasa 5)Secretary Bird 6)When The Red, Red Robin Comes Bob, Bob Bobbin' Along 7)Nightingales Sang In Berkeley Square 8)Baltimore Oriole 9)Skylark 10)Duck 11)O Pato 12)Le Cygne 13)Tico-Tico No Fuba 14)My Bird Of Paradise - Recorded on 1998/12/13 - Michael Moore (as,cl,melodica), Ernst Reijseger (cello), Han Bennink (ds) Amsterdam, Holland を拠点に活動する free jazz / improv. 3人組 Clusone 3 の 2年ぶりの新作は、Grammavison からの出戻りで hatOLOGY から。 Clusone 3 を初めて聴いたのは、Irving Berlin song book である _Soft Lights And Sweet Music_ (hat Art, CD6153, 1994, CD) でだったのだけれど (それ以前に 2枚のCDを Ramboy からリリースしている。)、ちょっとポピュラーな曲のムード 音楽的ですらある"甘い"雰囲気たっぷりの演奏から、発作を起こしたようなドシャ メシャな即興演奏に突き落とされるような感じが、なんとも可笑しい作品だった。 Moore のスムースな clarinet の演奏は"甘い"雰囲気を出すのにピッタリだし、 チャカポコいう感じの Bennink はユーモアも感じさせてくれる。(ちなみに、 _Rara Avis_ のジャケットでは、白いシーツを被ってドラムを演奏する写真が 使われている。相変わらず、逸脱行為っぽいことをやっているようだ…。) Reijseger の cello は、音域の広さを生かし、いろんな局面に対応している。 この新作でも、オープニングは George Gershwin で、エンディングは Irvin Berlin。 ノリは、_Soft Lights And Sweet Music_ から相変わらず。このCDでは、お題が 「鳥」になっていて、「鳥」が題名の曲を演奏している。アンデス民謡 "El Condor Pasa" (『コンドルは飛んで行く』) や、Antonio Carlos Jobim の ボサノバ曲 "O Pato"、果てはロマン派の Camille Saint-Seans のクラッシック曲 "Le Cygne" まで、と、レパートリーが広がって、ますますもって無節操というか、 馬鹿っぽくなっている。もちろん、ここでの「馬鹿っぽい」というのは誉め言葉。 「鳥」という括りで様々な曲が並置されていること、"甘い"演奏と即興演奏の衝突、 などによって、それもユーモアを伴って、いい感じに曲が脱構築されている、 楽しい作品。 Eric Boeren 4tet _Joy Of A Toy_ (BVHaast, CD9907, 1999, CD) - 1)A Fuzzphony 2)Joy Of A Toy 3)Peace 4)The Elecation Of Colin Evans 5)Free / TTZ / Forerunner 6)For Twan 7)Jayne 8)Free / EB 9)Embranceable You 10)Written In Red - Recorded on 1999/3/29 - Eric Boeren (cornet), Michael Moore (as,eb-cl,alto-cl), Wilbert De Joode (b), Han Bennink (ds) さて、Clusone 3 の2人 (Michael Moore (as) と Han Bennink (ds)) を含む 2管4tetによる、Ornette Coleman の original 4tet のカヴァー集。オリジナルと 同じ編成 (as,cornet,b,ds) でやっている。この面子でこのレーベルのことだから、 どうせ脱線しまくっているだろう、と思いきや、真面目にやっていて肩透かし。 せめて、もうひと癖欲しい。 リーダの Eric Boeren は、Don Cherry と対比して語られることが多いので、 違いを示すという意味でもこの企画を思い付いたようだが、その意味では成功 しているとは言い難い。 Ellery Eskelin & Han Bennink _Dissonant Characters_ (hatOLOGY, 534, 1999, CD) - 1)Flutter 2)Dissonant Characters 3)Incontrario 4)Oloraz = (Barolo) 5)Alias 6)Bud + Shake 7)Sight Unseen / Brilliant Corners 8)No Pyrrhula, Pyrrhula (= Bullfinch) 9)Let's Cool One 10)Pro Tanto - Recorded on 1998/12/11,12 - Ellery Eskelin (ts), Han Bennink (ds) New York を拠点に活動する tenor sax 奏者 Ellery Eskelin と Han Bennink の duo によるこの新作は、Han Bennink の New York 拠点ミュージシャンとの duo、 Han Bennink & Dave Douglas, _Serpentine_ (Songlines, SGL1510-2, 1996, CD)、 Myra Melford & Han Bennink, _Eleven Ghosts_ (hatOLOGY, 507, 1997, CD) に 連なるもの。 最近の Eskerlin、Douglas、Melford は bass-less の編成で活動を展開しており、 その側から見れば、そのミニマルな形態としての drums との duo、といえるかも しれない。もちろん、Bennink のチャカポコ気味の drums は歌うような感じもあり、 それが、単なるリズムを叩き出す役割以上をもってそれに応じているように思う。 duo 以上の音の豊かさを感じる作品だ。それに、2人の即興演奏の対決という感じより、 もっと作曲的な感じだ。実際、Monk の曲もやっている。 そもそも、最近の Bennink の活動も、Clusone 3 にしても、ABD Trio (Ray Anderson, Han Bennink, Christy Doran) にしても、bass-less の編成であり、互いのコンセプト がうまく合っているのかもしれない。 1999/9/12 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕