Francisco Mora Calnett
_World Trade Music_
(Communityprojects, CPM00001, 1999, CD)
- 1)Welcome 2)Iron Master 3)Vital Force 4)Hunters Child 5)Baba
6)The Other Side Of The Mask 7)Cultural Warrior 8)Earth Stones Prelude
9)Sister Harriet (The Spirit & The Conductor) 10)Interlude #4
11)El Momo 12)African Mask 13)Crossroads
- Francisco Mora Calnett (drums,percussion), Craig Taborn (piano),
Rodney Whitaker (bass); Kenny Cox (piano), Vincent Bowens (tenor sax,flute),
Marcus Belgrave (trumpet), Nik Pena (trumpet,sea shell,forest whistles),
Cassius Richmond (alto sax,flute), Alex Harding (baritone sax,bass clarinet),
Sherman Mitchell (trombone,flute), Andrew Daniels (percussion),
Jerome le Duff (percussion), Alberto Nacif (percussion)

free jazz のビックバンド Sun Ra & His Arkestra の元 drums 奏者 (といっても、
彼が参加した作品を僕は知らないのだけれど。) 、というより、Detroit techno の
重鎮 Carl Craig の生演奏プロジェクト Innerzone Orchestra の drums 奏者である
Francisco Mora Calnett の初リーダー作が出ている。

クレジットによると 2〜5 曲目が Yoruba (Nigeria 南西部) の伝統曲のアレンジ
ということで、percussion のアンサンブルの1曲目を聴いたときは、以降もそういう
展開なのかと思ったが。実際のところは、Mora - Taborn - Whitker の jazz piano
trio の作品といっていい作品。後半は、ゲスト的に管楽器がフィーチャーされるが。

bass の低音がしっかり録音されているのはとても気持ち良い。しかし、リーダーが
drums であるころもあるのだが、いささか bass の手数が少なくて、ソロのフレーズも
鈍臭い。piano 奏者は Mora と共に Detroit の jazz シーンで活躍する Craig Taborn
なのだが、彼ならもっと派手に弾きまくることができるはずだ。Sharib Shahid (bass)
- Tani Tabbal (drums) と組んでの Craig Taborn Trio, _Craig Taborn Trio_
(DIW, 618, 1994, CD) をリリースした頃は、Geri Allen や Myra Melford と並んで、
時に blues 風に、時に free に弾きまくることの出来る若手の piano 奏者として
話題になったのだが。この trio の作品や、この trio に James Carter (as,bs,ts)
を加えての James Carter Quartet, _JC On The Set_ (DIW / Columbia, 1994, CD)
に比べて、ぱっとしない。この Mora の作品も悪いというほどではないし、B.G.M. に
使うならこれくらいの方が良いのだが、やはり、この1994年の2枚を聴いて欲しいと、
僕は思う。

ちなみに、この Communityprojects は Carl Craig の techno 系レーベル Planet E
傘下のレーベル。ひょっとして、今後、このような jazz のリリースするのだろうか。
Craig Taborn に限らず free 〜 loft の流れを汲む jazz のミュージシャンは
US での録音に恵まれないだけに、そういう活動を続けることを期待したい。

Innerzone Orchestra
_Programmed_
(Planet E / Talking Loud, 870 937-2, 10"x5)
- 1-A)Manufactured Memories B)Eruption
2-A1)Programmed 2)Monsters B)The Beginning Of The End
3-A)Basic Math B)Architecture 4-A)At Les B)Blakula
5-A)People Make The World Go 'Round B1)Timing 2)Galaxy
- Produced and Mixed by Carl Craig
- Carl Craig (programm), Francisco Mora (voice,drums,tubes),
Craig Taborn (keyboard), Blakula (tubes,keystrokes,bass,keyboards), etc

Innerzone Orchestra, _Bug In The Bassbin_ (Planet E / Mo'Wax, MW049CD,
1992/1996, CD) のアコースティックな響きでポリリズムがうまく構成された
ところがとても気に入っていたので、期待していた Carl Craig のプロジェクト
の新作。残念ながらこのアルバムは、強力なポリリズムが感じられる曲が無く、
むしろ、電化した Miles Davis 以降の1970年代の electric jazz を薄めた
ような感じになってしまった。Craig Taborn が参加しているし、パーカッシヴな
piano をがんがんフィーチャーするとか、して欲しかった気がする。

ちなみに、限定で10" 5枚組がリリースされていたのだが、上記の Cat. No. は
そのもの。もちろん、CDもリリースされており、それには、"Bug In The Bassbin"
も収録されている。

1999/10/17
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕