Chiwoniso _Ancient Voices_ (Lusafrica, 26277-2, 1998, CD) - 1)Mai 2)Nhemamusasa 3)Ancient Voices 4)Tamari 5)Wandirasa 6)Look To The Spirit 7)Madame 20 Cents 8)Iwai Nesu 9)The Way Of Life 10)Everyone's Child - Produced by Keith `Fox' Farquharson and Chiwoniso Maraire. Recorded in Harare, Zimbabwe. Mixed at Studio Ferber, Paris by Stephane Caisson and Keith Farquharson. - Chiwoniso Maraire (lead vo,mbira,perc), Adam Chisvo (mbira,perc), Mwendikanyi Chibindi (backing vo,perc), Andy Brown (g), Ian Hillman (bass g), Sam Mataure (ds), Keith Farquharson (key), Steve Dyer (brass), Stuart Charles (harmonica,fl), Moses Saizi (perc). 南部アフリカの Zimbabwe 出身の女性シンガーソングライターの去年リリースされた アルバムが、最近、輸入盤店に並ぶようになった。その青い空を背景に凛々しく 佇むポートレイトを使った美しいジャケットにつられて聴いてみたら良かったので、 軽く紹介。 Zimbabwe のポピュラー音楽というと、1980年代初頭に英国経由で紹介された代表的な バンド Thomas Mapfumo and The Black Unlimited のスタイルとして知られる chimurenga がある。親指ピアノ mbira のフレーズを置き換えた rhythm guitar の フレーズとハチロクのリズムが特徴で、多くは Zimbabwe の言葉 Shona 語で歌われる。 他にも、Bhundu Boys、The Four Brothers、Real Sound Of Africa というバンドが、 同じような rhythm guitar のフレーズとハチロクのリズムの曲を演奏している。 Chinoniso Maraire も、ハチロクのリズムを持つ曲を多く演奏しているが、mbira と electric guitar を併用しており、そのコンコンというような音色も面白い。 mbira を用いているから伝統的な音楽に近いかというと、そんなことはなく、 かなりモダンで洗練された仕上がりである。それは、ほとんどの歌詞が英語で 歌われているということもあるかもしれない。そのせいか言葉の響きが、とても rock / soul 的である。Chiwoniso Maraire は、幼い頃に米国に住んでいたことも あったそうで、その影響も大きいのかもしれない。ハチロクのリズムを持たない曲は、 ほとんど、英米の soul や rock と同じである。ハチロクのリズムを持っても、 その影響を受けた曲が多く、例えば "The Way Of Life" など、その自然な 混交具合がカッコイイように思う。といっても、基調になっている、特徴的な mbira 由来の舞い上がるような rhythm guitar のフレーズと、つんのめるような ハチロクのビートが、このアルバムの一番の魅力になっているのは確かなのだが。 もちろん、ちょっと落ち着いた感じの歌声も良い。僕が聴いてきた Zimbabwe の ポピュラー音楽というと男性歌手ばかりだったので、女性の歌声というだけで新鮮、 ということもあるかもしれないが。その歌声から受ける印象や、自作の歌詞や曲、 凛々しいポートレートを使ったジャケット、などにしても、典型的な英米の rock / pop の文脈における SSW で、そういう所も、モダンな印象を受ける。 Lilith Fair (米国で開催されている女性 rock ミュージシャンのフェスティヴァル。 参加ミュージシャンのほとんどは女性 SSW である。) の面子に交じっていたとしても 違和感が無いと思う。そして、そういう面も、僕は、気に入っている。 1999/11/23 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕