Spigel.Newman.Colin.Malka _Live_ (Swim~, CUSWM1, 1999, CD) - 1)Water Walker (Revisited) 2)Long One 3)Tethnic '99 4)Humans 5)I'm Spaced (In) 6)I Just Want (Spinning Guitar Version) 7)Dreamwalking 8)It's Odd (Reconfigured) 9)Strumgliding (Ultimate Version) 10)Encore - Colin Newman, Malka Spigel Colin Newman (ex-Wire) と Malka Spigel (ex-Minimal Compact) の2人は、 1990年代に入ってレーベル Swim~ を設立し、そこを拠点に活動している。 それぞれのソロの他、2人の electronica のユニットである Immersion 名義 による活動もある。Malka Spigel, _Hide_ (Swim~, CDSWM10, 1996, CDS) は drum'n'bass / techno 的なバックトラックと、Malka Spigel の浮遊するような 取り合わせが良いと思ったが、他の rock 的なアルバムはいまいちに感じたし。 Colin Newman のソロ _Bastard_ (Swim~, WM8, 1997, CD) や Immersion の 一連の作品も、ambient 風に過ぎるように思っていた。 このCD-Rによるメール・オーダーのみの受注生産のアルバムは、_Live_ という 題からもわかるように、1998年の Colin Newman と Malka Spigel の2人の欧州 ツアーの後に、それに関連してリリースされたものなのだが。ライヴ音源を元に スタジオで大幅に作り直されており、あまりライヴ感は無い。このような制作 方法は、Wire, _It's Begging To And Back Again_ (Mute, CDSTUMM66, 1989, CD) と同じなのだが。これは、後期の Wire の中でもっとも良いアルバムだと思うの だけれども、それと同じように、この _Live_ も、Swim~ での2人のリリースの 中で最も良いように思う。guitar を多くフィーチャーした音とはいえ、techno 〜 breakbeats を基調した音なので、スタジオで作り直したことにより音の チャチさを補っているように思うし。今までのアルバムは ambient 的な大人しさが 物足りなかっただけに、live 向けということで勢いがある、というか、ダンス指向 にアレンジされているのが、気に入っている。 アンコール曲だったのだろうか、最後の曲は "Encore" は、実際は Wire, "Ourdoor Miner" (_Chairs Missing_ (Harvest, SHSP4093, 1978, LP)。 2人の guitar のみを伴奏に歌われるところが、他の曲ともコントラストもあって、 カッコ良かった。 Immersion _Low Impact_ (Swim~, WM12, 1999, CD) ほぼ同時に、Colin Newman と Malka Spigel の electronica のユニットの新作が 出ている。2000枚限定で、_2nd Immersion_ (Swim~, VWM12, 1995, 12") などの 過去の音源、未発表音源を集めた _Backflip_ (Swim~, WM12.2, 1999, CD) と 2枚組になっている。 Irish Museum of Modern Art in Dublin でのグループ展 _The Event Horizon_ へ 出展したインスタレーション "Immersion by Immersion" のための音楽が2曲 含まれていることからも想像つくように、あまりポップでもダンス指向でもなく、 むしろ ambient 風というか B.G.M. 向けといった感じだ。bass の出る曲とかは 気持ち良いが。_Live_ が良かっただけに、少々残念。 ついでに、去年リリースされたものだけれども、最近入手したこのCDを紹介。 Various Artists play Drill _Dugga Dugga Dugga_ (WMO, WMO8CD, 1998, CD) - 1)Faster Solex Drill Drill Drill! (Solex) 2)Hammering A Drill (Legion Of Green Men) 3)G'schliffn (Rehberg / Bauer / Potuznik) 4)Small For Drill (Malka Spigel) 5)Full Frequently Range (Electric Company) 6)Platform Shoes (Soles) 7)The Vibrate Mix (Lift Laboratories) 8)Drill U47 (baboon) 9)Drill Au Conard (Twinkotherm) 10)Drillmeltie (Phthalocyanin) 11)Paralleladrill (Chris & Cosey) 12)Drill-Yo-Da (Scaredycat) 13)Extramaterialdrill (Ibrahim) 14)12DrillU (Ex-Lion Tamer) - All tracks arranged by the artists. Milled, sieved and refined by Mark Gage in Vapourspace. Various Artists play Wire, _Whore_ (WMO, WMO2CD, 1996, CD) に続く、Wire の 再発レーベルの企画する他バンドによる Wire カヴァー集の第二弾は、Wire 再結成 デビューシングル曲 "Drill" (Wire, _Snakedrill_ (Mute, 12MUTE53, 1986, 12") 所収) のカヴァー集。post-rock 的なカヴァー集に続いて techno 〜 breakbeats 的なカバー集、ということで、脱 rock の両面、といったところだろうか。 techno / breakbeats 的な解釈のカヴァー集なので、元曲限定という縛りも、 ほとんど関係ない。みな元曲と関係なく打ち込みトラックを作っている、という 感じだ。ちなみに、LFO の Mark Gage (a.k.a. G-Man) がミックスして繋いでいる。 しかし、Cosey Fanni Tutti の歌声をフィーチャーした Chirs & Cosey の "Paralleladrill" とか気に入ったトラックもあるが。全体的には、いまいち 捕えどころの無い仕上がり。ちなみに、ラストの Ex-Lion Tamer, "12DrillU" は、 実際は "12XU" のカヴァー。再結成デビュー曲ではなくデビュー曲、というのも 意味深長だと思うが、ちょっと反則っぽい気がする。 1999/11/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕