Various Artists
_Round One To Round Five 1993-1999_
(Main Street, MSD-1, 1999, CD)
- 1-3)Round One feat. Andy Caine, _I'm Your Brother_
(Basic Channel, BC06 / Main Street, MSR02, 1994, 12")
1)Club Version 2)Chicago's Twisted Mix 3)Quadrant Dub
4,5)Round Two feat. Andy Caine, _New Day_ (Main Street, MSR04, 1995, 12")
4)Club Vocal 5)Dub
6,7)Round Three feat. Tikiman, _Acting Crazy_ (Main Street, MSR06, 1996, 12")
6)Club Vocal 7)Instrumental
8,9)Round Four feat. Tikiman, _Find A Way_ (Main Street, MSR08, 1998, 12")
8)Vocal + Version 9)Found A Way
10,11)Round Four feat. Tikiman, _Na Fe Throw It_ (Main Street, MSR10, 1999, 12")
10)Na Fe Throw It 11)Na Fe Throw It Version

Berlin の techno 系レコード・ショップ Hard Wax のレーベルの一つ、Main Streem
が今までの5枚の12"を集めたCDがリリースされている。Hard Wax のレーベルというと、
Basic Channel 〜 Chain Reaction が良く知られており、その極端にミニマルな脈動
するようなビートが特徴だ。

この編集盤で纏められた Main Stream レーベルは、そんな中では、歌手をフィチャー
して house 的なニュアンスを持った音をリリースしている。house といっても、
あくまで Basic Channel 的なミニマルさを残している。特に、インストゥルメンタル
のヴァージョンはそれが顕著だ。トラックを作っているミュージシャンのクレジット
は無いが、Basic Channel 〜 Chain Reaction の主催者でもある、Moritz von Ozwald
(a.k.a. Maurizio) を中心に作っていると思われる。

Matthew Herbert の作る deep house 的な音と共通する感覚もある。しかし、Herbert
の音が、特に声の録音の仕方から艶めかしさを感じさせるものなのに対して、この
Main Streem レーベルの音は、もっと突き放した無機的な感じだ。

CDで通して聴いてみると、初期の Andy Caine を歌手としてフィーチャーしていた頃が
house 色が濃く、Maurizio の dub プロジェクト Rhythm & Sound の歌手でもある
Tikiman がフィーチャーされるに従い、reggae 〜 dub 色が濃くなっていくのが判る。
Rhythm & Sound に比べて歌声のアクは弱めで控えめだと思うけれど。

アナログを揃えるほど熱心ではない Basic Channel 〜 Chain Reaction 界隈の音が
好きな人には、大変お得なCDだろう。はじめて Basic Channel レーベルの編集盤
(Basic Channel, BC-CD, 1995, CD) がリリースされたときは、「CDで聴いてどうする」
と思ったものだが。その後、Mシリーズの編集盤 (M, M-CD, 1997, CD)、そして、
Burial Mix レーベルの編集盤 Rhythm & Sound w/ Tikiman, _Showcase_ (Burial Mix,
BMD01, 1998, CD) と、アナログ音源を編集盤をリリースし続けており、いずれも、
Basic Channel 〜 Chain Reaction 界隈の音を知るのにうってつけのCDになっている。
いずれもお勧めしたい。しかし、CDのリリースをもって、M や Burial Mix のような
プロジェクト的なレーベルは活動を停止している。Main Street も、このCDをもって
活動を停止するのかもしれない。

Various Artists
_8, 8.5, 9 - Remix_
(Fat Cat, FATCD007, 1999, CD)
- 1)no.8 2)no.8.5 3)no.9 4)no.8 (amx by arovane) 5)no.9 (:funkstorung. mix)
6)no.8 (ae2 mix by autechre) 7)no.9 (pole mix) 8)modulo 8.5 by monolake
- 1-3)originally released as _8, 8.5, 9_ (Fat Cat, 12CAT003, 1997, 12")
4)previously unreleased.
5-8)originally released as _8, 8.5, 9 Remixes_ (Fat Cat, 12CAT008, 1998, 12)

さて、自身のレーベル Din からだけでなく、Chain Reaction レーベルからも、
何枚かの12"と Various Artists, _Decay Product_ (Chain Reaction, CRD03,
1997, CD) をリリースしている、Thorsten Profrock (a.k.a. Various Artists)
(名前が紛らわしいが、ここでの Various Artists というのはユニット名である。)
が Fat Cat レーベルからリリースした2枚の12"を集めたCDが限定でリリース
されている。

いささか ambient な感じもあるが、やはり、Chain Reaction 界隈らしい脈動的な
minimal techno というか、ambient 的な電子音が楽しめる。remix も Arovane、
Pole、Monolake など、Chain Reaction 界隈が多く手掛けている。そんな中では
Funkstorung や Autechre の mix の方が、"Artificial Intelligence" 的な音色の
作り方なので、印象に残るかもしれない。とくに、Funkstorung のカキカキいう
硬質な音はカッコイイ。Bjork mit Funkstorung, _All Is Full Of Love_ (Fat Cat,
12FAT022D, 1998, CDS) もなかなか良かっただけに、気になるユニットだ。

1999/12/5
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕