Various Artists vs Disinformation
_Al-Jabr_
(Ash International [R.I.P.], Ash4.3, 1999, CD)
- 1)London's Overthrow (Evan Parker) 2)Pandemonium (Tactile)
3)Booming Bass (Jim O'Rourke) 4)Parabolas (Simon Fisher Turner)
5)Raxor (Mechos) 6)'K'h'mkβ£#nπ (Lawrence Casserley)
7)Synaptic Radio (T:un[k] Systems)
- Based on the album _R&D_ (Ash International, Ash2.9, 1996, CD) and
_R&D2_ (Ash International, Ash9.2, 1998, CD), electromagnetic noise
recordings by Disinformation.

UKを拠点に活動する Joe Banks の電磁波ノイズ録音プロジェクト Disinformation が、
様々なミュージシャンと "共演" したアルバム。_R&D_ や _R&D2_ でフィールド録音
したノイズに他のミュージシャンの演奏を重ねるような形で制作されたようだ。

これ以前に Disinformation の音を聴いたことが無かったので、Evan Parker や
Lawrence Casserley のクレジットと Touch 傘下のレーベルということから、
Evan Parker & Lawrence Casserley, _Solar Wind_ (Touch, TO:35, 1997, CD)
のような、生音を電気的に加工していくような所も期待したのだが、一曲目の
Evan Parker, "London's Overthrow" も意外に素直に音を重ねたものだった。
それも、Parker の sax は抽象的というよりも、もっとジャズ的なニュアンスを
持ったフレーズで、それが新鮮。それが、次第に Disinformation のノイズの中で
抽象化されていく ― circular breathing を多用し始める ― という展開も、
なかなか面白い。このCDの中でも13分という長めの曲長なのだが、一番の聴き所
かもしれない。

他の作品はむしろ、ノイズと電子音ばかり、という感じで聴き流しておいて丁度
いいかな、という程度だった。むしろ、B.G.M. として意外と聴けるものだったのが
面白かったかもしれない。ちょっと期待した Jim O'Rourke, "Booming Bass" は、
3分弱の小品、左右に音を振る電子音が面白いが、フィードバックのノイズも瞬間芸
ぽい感じもして、物足りなかった。

Various Artists vs Disinformation
_Antiphony_
(Ash International, Ash3.4, 1998, 2CD)
- CD1-1)Unidentified (RLW) 2)National Grid (Part 1) (Bruce Gilbert)
3)National Grid (Part 2) (Bruce Gilbert) 4)(Kapotte Muziek)
5)Fire At Will (People Like Us) 6)Stargate (Chris And Cosey)
7)Stage #4 (Atom Heart) 8)Charge Field (John Duncan and Giuliana Stefani)
9)(L.O.S.D.) 10)Radio Land (Mark Van Hoen)
CD2-1)N=N (S.E.T.I.) 2)untitled (Anonymous) 3)Headlights (Disinformation)
4)Sound Check (Disinformation) 5)(Zbigniew Karkowski and Eric Lyon)
6)Addition (M. Behrens) 7)Breathsweep (Mark Poysden)

_Al-Jabr_ の先駆けとなったのが、去年リリースかれた _Antiphony_ だという
こともあって、また、参加しているミュージシャンもそれなりに気になったので、
入手して聴いてみた。ちなみに、ビニールパック入りの変形ジャケットの限定
CD2枚組だ。

こちらは、Evan Parker のような生音系の人がいないせいか、全体として単調に
聴こえるように思う。むしろ、Evan Parker のような人が参加して、_Al-Jabr_ は
面白く聴けたのではないか、とも思う。

1999/12/12
嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕