Violent Femmes _Viva Wisconsin_ (Cooking Vinyl, COOKCD189, 1999, CD) - 1)Prove My Love 2)I'm Nothing 3)Country Death Song 4)Blister In The Sun 5)Gimme The Car 6)Don't Talk About My Music (Shut Your Mouth) 7)Confessions 8)Hallowed Ground 9)Life Is An Adventure 10)Old Mother Reagan 11)Ugly 12)Good Feeling 13)Dahmer Is Dead 14)American Music 15)Special 16)Sweet Worlds Of Angels 17)Black Girls 18)Gone Daddy Gone 19)Add It Up 20)Kiss Off - Produced by David Vartanian. Recoreded live 1998/10/25-31. - Gordon Gano (vocal,acoustic guitar), Brian Ritchie (acoustic bass guitar, shakuhachi,xylophone,soprano saxophone,harmonica,conch,theremin,vocal), Guy Hoffman (snare drum,tranceaphone,bugle,vocal); The Horns Of Dilemma (Sigmund Snopek III (piano,oboe,flute,trombone, Native American flute,bass clarinet,vocal), Ray Cribb (trombone,bass), Eric Harkstrum (trombone), Mike Kock (saxophone), Shane Derstl (trumpet). Wisconsin, Milwaukee, US を拠点に活動する punk 風の folk や rockabilly を 演る3人組 Violent Femmes が久々にアルバムをリリースした。それも、去年10月に 地元 Milwaukee 州の6個所を回ったアコースティック・ツアーの際の録音を集めた ライヴ盤だ。実は、彼らの初めてのライヴ盤である。 1995年の来日公演でもそのバスキング上がりのライヴを僕は楽しませてもらったし、 ライヴこそ彼らの持ち味だと思うのだけれど。このレコードでも、Milwaukee の 小さなハコでのアコースティックなライヴだけに、その雰囲気を聴くことが出来る。 錯乱したように音程を外す "Blister In The Sun" のコーラスや、絶妙な間で客を 引き込む "Add It Up" のイントロなど、Gordon Gano の歌唱がなんといっても良い。 もちろん、アコースティックながらドタバタ気味のバックの演奏も、それを煽るし。 来日公演のときも、1stアルバム _Violent Femmes_ (Slash / Rough Trade, ROUGH55, 1982, LP) からの曲を中心に演ったのだが、このライヴ盤に収録されて いるのも7曲が1stからの曲である。もはやクラッシックスといえる、"Blister In The Sun"、"Gone Daddy Gone"、"Add It Up"、"Kiss Off"、"Ugly" などの 初期の曲が中心となっているし、やはり、それらの曲が良いように思う。 デビューの時点で彼らのバスキング・バンドとでもいうコンセプトは充分固まって いたのだと思うし、地元 Milwaukee で人気の田舎バンド とでもいった、このライヴ 盤のコンセプトといい、どんどん新しい音楽性を追求し展開していくというのは、 彼らのやり方では無いのだと思う。お約束のレパートリーを、馴染みの客に対して ― それだけでなくてもいいのだが ― その場その時の雰囲気に合わせて演って 盛り上げていく、というところこそ、彼らの面白さだと思うし、彼らのライヴの コンセプトではないかと思う。そういう意味でとてもフォーク的なのだと思う。 もちろん、こういう非アート的な活動の一方で、彼らは New York の実験的な音楽 シーンとも交流を持っており、サイドプロジェクトはもちろん、スタジオ・アルバム でのゲスト・ミュージシャンなどに、それが反映されたりもする。1990年代前半には、 Knitting Factory で music theatre piece をやっているというニュースも伝え られたし。2年前には、France の electro-acoustic な現代音楽家 Pierre Henry の _Interieur / Exterieur_ (Philips, 462 132-2, 1997, CD) に参加したりもしていた。 それだけに、地元 Milwaukee で人気の田舎バンド とでもいった活動の仕方も、 むしろコンセプチュアルなものに思えてならないのだが。 ちなみに、来年の頭には、スタジオ録音の新作、_Freak Magnet_ をリリースする 予定のこと。また、世界ツアー (笑) も予定されているとのこと。日本ではあまり 知られていないバンドだけれども、ぜひまた来日して欲しいものだ。 1999/12/14 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕