毎正月恒例の青山ブックセンターの洋書セールで入手した本を紹介。 Tatiana Strizhenova _Soviet Costume and Textile Design 1917-1945_ (Frammarion, ISBN2-08013-515-5, 1999) - 33cm x 24cm, hardcover, pp.312. Soviet / Russia の第二次大戦前の服飾とテキスタイルのデザインを扱った本だが、 その過半を、1930年代初頭までの Avant-Garde なデザインに割いている。 服そのもののデザインもそうなのだが、デザイン画まで構成主義っぽいものがあり、 当時の Russia の構成主義が好きな人なら、観ていてとても興味深い本だろう。 ページを繰っていて最も目に付いたのは、当時のSF映画 _Aelita_ (1924) の衣装も 手がけていた Alexandra Exter デザインの服の写真。その当時の僕の「モガ」の イメージをよく表していて、かなり惹かれるものがある。 去年、(確か同じ出版社、著者による) テキスタイル・デザインのみの小版の本を 知り合いに見せてもらったことがあり、そのときに、その本に載った工場の機械 などをモチーフにした柄のブラウスが欲しい、と思ったのだが。それは、この大判の 本でも同じ。 あと、この本で予想外の収穫だったのは、舞台衣装として Blue Blouse Theatre の ものを多く挙げていたこと。『美術と演劇 ロシア・アヴァンギャルドと舞台芸術 1900-1930』(横浜美術館, 1998) を観たとき、この Blue Blouse Theatre の ポスターが非常に良いと思っていただが、舞台の様子はおろか、どういう劇団 だったのかも紹介されていなかったので、気になっていたのだ。この本に、その Blue Blouse Theatre の舞台の様子の写真、それも、サーカスを思わせる、とても コミカルで面白そうな写真が8枚も載っていた。Soviet / Russia Avant-Garde な 演劇といえば Vsevolod Meierhold の "Meierhold Theater" が有名で 代表的に 語られることが多いわけだが、この舞台の写真を観て、僕は、俄然、Blue Blouse Theatre のファンになってしまった。 2000/12 (2000/1/15) 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕