『国際ファッション・フェスティバル ― モードの仕掛人たち』 _International Fashion Festival in Japan - Mode:Models:2000_ 神戸ファッション美術館, 神戸市東灘区向洋町2-9-1 (六甲アイランドセンター), tel.078-858-0050, http://www.exd.city.kobe.jp/kfm/menu.htm . 2000/1/8-2/6 (水休), 11:00-18:00 (金11:00-20:00). ファッションの展覧会というよりも、実質的にファッション写真の展覧会。 服そのものの展示はほとんど全く無く、会場で流されていたインタヴューのビデオ にしても、デザイナーよりも、ファッション写真の写真家、次いでモデルに、 焦点が当たっていた。例えば、展示されている写真の作家としては、写真家が クレジットされていたわけだし。 この展覧会で触れられているような高級既成服 (プレタポルテ) のほとんどが、 自分が実際に着ることではなく、ブティックで直接見るものでもなく、 雑誌に載った写真を通して ― それもモデルが着た状態で ― 観ることが最も多い、 ということを考えると、「仕掛人」として写真家に焦点を当てるのは一理あると 思うし、そのくらいの説得力は、この展覧会にあったと思う。 しかし、展示は漠然としたもの。160名の写真家の400点の写真が展示されていた のだけれども、特に展示に方向づけがなされてないせいか、散漫な印象。 しかし、写真のクレジットに制作年が載っていないというのは、酷いと思う。 ま、お祭り、と考えればそれで良いのかもしれないけれど。最も目を惹いたのは、 入口すぐにあった、Herb Ritts の2枚と、John Lindbergh の1枚だったけれども、 単に展覧会が散漫だったせいだけでも無いように思う。Comme des Garcons の ファッション写真で知られる John Lindbergh は大き目にコーナーが作られて いたし、実際に目を惹く写真だとは思ったけれども。 Herb Ritts や John Lindbergh は白黒なのだけど、全体的に白黒写真に比べて カラー写真が見劣りするように感じた。いろんな雑誌向けの写真が混在していた ためにトーンがごちゃごちゃして下品に感じたように思うのだけれども。 会場出口にモード雑誌が閲覧できるコーナーが作られていたのだが、パラパラと ページを繰っていたら、展示されている写真を使ったページが目に入った。 展示では横長の写真なのだが、ページでは縦長にトリミングされて、さらに タイポグラフィが加わって、かなり雰囲気が変っていた。そして、もちろん 後者の方がずっと良かった。やはり、ファッション写真は、雑誌で観るものなの かもしれない、と思ってしまった。 _ _ _ 神戸ファッション美術館は、日本初のファッションをテーマとした美術館という だけでなく、Jean-Marie Straub & Daniele Huillet の映画を収蔵するなど、 話題になっていたので、どういうハコか気になっていた。今回、初めて行った わけだが、ちょっと見本市会場を思わせるような展示室は残念。映画を収蔵して いるし、ファッション・ショーのビデオなど、上映するコンテンツには事欠かない ように思うのだけれど、ふらっとな多目的スペースはあっても上映用のシアターを 持っていないのは、意外だった。 2000/1/30 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕