『ポンピドゥー・コレクションによる シュポール・シュルファスの時代 ― ニース〜パリ 絵画の革命 1966〜1979』 _Les Annees Supports/Surfaces - dans les collections du Centre George Pompidou_ 東京都現代美術館, 江東区三好4-1-11木場公園内 (木場), tel.03-3272-8600, http://www.tef.or.jp/mot/ 2000/1/29-3/30 (月休;3/20開;3/21休), 10:00-18:00 (金10:00-21:00) - Andre-Pierre Arnal, Vincent Bioules, Pierre Buraglio, Louis Cane, Marc Devade, Daniel Dezeuze, Noel Dolla, Toni Grand, Christian Jaccard, Jean-Michel Meurice, Patrick Saytour, Andre Valensi, Claude Viallat, etc _Artforum_ Vol.37, No.4 (Dec. 1998) で、Yves-Alain Bois が "In embracing "Post-Minimalism" without having a clue about minimalism, the Supports/Surfaces artists were led to strange stylistic amalgams. と評していた展覧会。Bois が指摘するように、数ヶ月から数年先行して アメリカで制作されていた同様の作品 (Kenneth Noland, Jules Olitski, etc) と比べて Minimalism に対する無理解に基づくところがあるのかもしれない。 といっても、僕自身の Minimalism に対する理解や、この頃のフランスの 現代美術に関する知識からすると、それでも十分に勉強になる企画ではあった。 ほとんどが初めて作品を観る作家だったわけだし。 しかし、確かに、画布だけの作品や木枠やそれに準じた梯子状の作品にしても、 筆で描くのではなく染色して色づけする点にしても、確かに、「キャンバスの 脱構築」なのかもしれないけれど、Daniel Buren や Niele Toroni ― 僕は好き なのだが ― に比べると、キャンバスに回帰している、というか、ちょっと 反動的なのかな、と思うところもあったり。いささか上品にまとまって しまっているように感じた。パンフレットにあるような彼らの主張との 整合性を見なければ、悪くはないのだが。 こういう上品な感じに収まっているせいか、脱ミニマリズムとかそういう 文脈から離れたところで誤読すると、画布のみを使った作品など、ちょっと したテキスタイル・デザインを思わせるところがあるし。天井や壁から 下げられた、布やロープの作品など、コンテンポラリー・ダンスの抽象的な 舞台美術のようでもある。一階の奥の一連の展示室での展示など、この スペースを使って、ちょっとしたダンスや演劇のパフォーマンスをすると 面白いのでは、と思ってしまうほどだった。いや、ミュージアム・ショップで Claude Viallet の柄のティー・セットが売られているのを見ると、もはや 誤読などではなく、今や実際そういうものなのかもしれない。 2000/2/20 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕