ゴキブリコンビナート『腑恥屠魔屠沙羅唾記念日』 2000/4/28, 19:00- 明石スタジオ (高円寺) - 作・演出・プロデュース: 斎藤 寿幸 (a.k.a. Dr. エクアドル). - ワッシャー木村 (テリー), 竹田 オメス 吉祥寺 (ドモリ), 滝田 須比呂平太 (歌丸), TAI-CHANG (a.k.a. 高松 タイヂ山?) (サンマ), 城戸 真亜夫 (オンジ), Dr. エクアドル (牛飼い), 金井 慈 (白い男), 眼鏡博士 (白い男), ボボジョ黄桜 (首ハイジ), 智子大都会 (腕ハイジ), 石井 悦子 (足ハイジ), 高野 幸子 (首なしハイジ), 小池 洋子 (セロトニン瘍子), 森野 久美子 (牛娘). ミュージカル仕立ての構成や、飛び散る泥水やドタバタとした格闘など、 今まで観てきた通りなのだが、いささか掴みに欠けた新作だった。 その一番の理由は、歌やキメゼリフに、ぐっと掴まれるようなものが無かった からのように思う。前作の『ロワゾ・ブル ― 譫妄編』 (中野ひかり座, 1999/9) であれば、「♪べーろべろべろべろのばし〜」や「ロボトミー万歳」のような。 この作品でも、男4人組の登場の際に叫ばれる「幼児ポルノ規制法反対!」のような セリフや、その後に歌われる「♪もてて〜、もてて〜、こまるんだ〜」 といったような歌がある。しかし、これらは、明らかに心にも無いことを言っている という使われ方がされており、この一歩引いた距離、というか、一捻り入った 使われ方が、セリフや歌に掴みを感じられなかった理由なのかな、とも思う。 こういう捻りを入れるのもありだとは思うが。主題が、モテない身体的な特徴を 持つ男、ということで、前々作の『粘膜ひくひくゲルディスコ』のフリークス ほどのインパクトが無かった、ということもあるかもしれない。そういえば、 被り物度も低かったように思う。 会場は立席で、フロアの中を高さ1.5m余りある4台の移動舞台が動きまわる、と いうもの。役者や動く舞台を避けるために観客も移動する必要があるわけだが、 ほとんどの客が壁際にへばりついていて、それほど移動して観ていた観客は いなかったように思う。僕は、けっこう、シーンに合わせて会場を歩き回って 観てしまったけれど。立席なら、客を壁際に張り付いたままにさせずに、もう少し 客を動かすような工夫があると面白そうだとは思ったけれども。といっても、 実際に客を動かすのは難しいだろうなあ、とも思う。移動舞台も、それほど 効果的に使われていたようには感じなかった。 飛び散る泥水は相変わらずで、ズボンなどに数箇所泥の飛沫が付いたけど、 今回は泥塗れの役者とぶつかってしまい、左腕にべったりと泥が付いてしまった。 ま、覚悟の上だったし、一興ではあるのだが。牛乳が出てくるのはほとんど お約束になっているのだが、本物の牛乳ではなく白い粉を混ぜた水が使われて いることに気づいた。これは、今回からそうしたのか以前からそうだったのかは、 判断しかねるけれども。 それなりのレベルはクリアしていたと思うけれども、決め手に欠けたなぁ、と 思った、そんな出し物だった。 2000/4/28 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕