_New Media New Face / New York_ ICCギャラリーA, 新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4F (初台), tel.0120-144199, http://www.ntticc.or.jp 2000/4/21-6/4 (月休), 10:00-18:00 (金10:00-21:00) - Celeste Boursier-Mougenot, John Klima, 中山 ダイスケ, Daniel Rozin, Camille Utterback, Ted Victoria. ニューメディア、なんて言葉を気にしなければ、けっこう楽しめた展覧会だった。 受付脇に、中山 ダイスケ『Under The Table』(1998) が展示されていたのだが、 これが、コーヒーカップが載ったカフェ風のテーブルの下を、重心が片寄った 木製の球が(おそらく磁力に引かれて) 転がっている作品。球が枠などにぶつかる 度に、カンカンカンとけたたましげに音を立てのが印象的。以前に、スタジオ食堂 などで観た作品とかなり芸風が違うので、意外だったけれど。 しかし、この展覧会で最も気にいったのは、これに類した作品なのだが、 Celeste Boursier-Mougenot, _Untitled (series #3)_ (1999)。空気で膨らます 小型プールに水を張って、そこに大小様々の陶磁器の椀やガラスのグラスを沢山 浮かべた作品。緩く水流を発生させているので、時折、椀やグラスが触れ合って、 カンカカカンと澄んだ音を立てる。時には連続して重なり合い、時には散発的に、 様々な高さの音が響くのが、なんともさわやかな感じで気持ちよい。触れ合う様子を 観察していると、ほとんどの場合、一回当たったきりということはなく、一度強く 当たったあとに小刻みに何回か当たっている。それが、カンカカカンとでもいう 響きを作り出しているのだが。この振動の発生というのがちょっと興味深かった。 もちろん、もっとマクロに動いていく椀やグラスを眺めていても面白いのだけれど。 空気で膨らます小型プールが、椀やグラスに比べて安っぽ過ぎるので、もう一工夫 欲しい気もしたけれど。 もう一つ気に入った作品は、Daniel Rozin, _Wooden Mirror_ (1999)。木片を グリッド状に可動式に並べた作品で、仕込んだカメラの映像の濃淡を、木片の 角度を調整することによって実現する、というもの。もちろん、リアルタイムに 行っているのだが。アイデアは単純だけれど、木片の陰影の質感がなんとも良い。 ユーモラスですらある。ほとんど同じアイデアで、Camille Utterback, _Composition_ (1999) というのがあったのだが、これは、コンピュータのフォントで 濃淡を実現しており、ビデオプロジェクタで壁に投影している。こうしてしまうと、 単なる画像処理という感じになって、木片の陰影ほどのユーモアが感じられず、 つまらないように思う。 _ _ _ 金 守子『針の女』 ICCギャラリーD, 新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー4F (初台), tel.0120-144199, http://www.ntticc.or.jp/ 2000/4/26-6/18 (月休), 10:00-18:00 (金10:00-21:00) (主に) 様々な街中で、自身がカメラに背を向けて立ちつづける様子を収録した ビデオを投影するビデオ・インスタレーション。ほとんど真っ黒で地味な服装で 匿名的。逆に背景となっている風景の差異が際立つ感じが、ちょっとタイポロジー を思わせたし、それが面白かったけれど。しかし、徹底してないというか、 いささか中途半端な気もしたのは、作家の意図がそこに無いせいだろうか。 _ _ _ 『Prime - Reflection of Color and Form』 東京オペラシティアートギャラリー, 新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー3F (初台), tel.03-5353-0756. http://www.tokyooperacity-cf.or.jp/ 2000/5/27-7/20 (月休), 12:00-20:00 (金土12:00-21:00) - 堂本 右美, 松井 紫朗, 間島 秀徳, 近藤 正勝, 前田 哲明, 押江 千衣子. 比較的伝統的な平面・立体作品からなる展覧会。というわけで、どうしても地味さは 否めないのだが。そんな中では、大理石の粉を濃い青いキャンバスに吹き付けたかの ような (実際は、滴らし落としたそうだが。) 作品の、粉っぽさと液っぽさの どちらともとれそうな質感が、面白かった。 2000/5/27 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕