Christina Dimitriadis Galerie Deux, 目黒区柿の木坂2-10-17 (都立大学), tel.03-3717-0020, http://www.t3.rim.or.jp/~gal-deux/ . 2000/5/11-8/5 (日月祝休), 11:00-18:00. ギリシアの若手写真家による個展。どういう作家か予備知識が無かったので、 期待していなかったのだが、とても面白い写真展だった。 一つは、ギャラリー入って左の壁に並んだ、ビキニ水着姿の女性を捉えた 写真の連作。浜辺だったりプールサイドだったりするのだが、みなカメラに 向いて横向きに横になって、頭を手で支えているポーズをとっている。 (古典的な絵画で描かれている「横たわる美女」が取りがちなポーズだ。) 被写体の女性はそれぞれ異なるし、女性の向きや水平線の位置など構図にも バラツキはあるが、この緩い感じのタイポグラフィが、水着姿の女性の ポートレイトのステロタイプを、ユーモアを含めて軽くいなしているような 感がする。 しかし、ギャラリー入って右の壁にかかったセルフポートレイト連作が、 ちょっとトリッキーな写真で、とても面白かった。部屋の中で、椅子、 ソファやベッドに座った様子が写されているのだが、くっきり鮮明に写った 室内に、人物が半透明に写っているのだ。室内を捉える構図が安定したもの であるだけに、半ば透明人間のように居る人物の存在感の微妙な淡さが 際立って、面白い。通常のポートレイトの場合は人物が中心であり、 室内の様子などはその「背景」であるわけだけれど、その前景と背景が 逆転させられ、ポートレイト的なポーズを残しつつも、インテリア雑誌に 載るようなインテリアの写真に人物像を仮設したような感じもある。 この前景と背景を逆転させたちょっとした矛盾という感じが、とても 良かったと、僕は思う。 もう一枚、ギャラリー入って正面に、半ば透けて向こうが見えるドアの 写真があるのだが、これも、半透明に写ったセルフポートレイトと同じ 手法で撮影されたものだ。当初、二重露光でこのような効果を実現している のかと思ったし、二重露光の割には室内を捉えた部分にほとんどブレが 無いのが凄いと思ったのだが。二重露光ではなく、シャッター開放しての 長時間露光で撮影したということだった。そういう実現手法も興味深かった。 _ _ _ Tim Hawkinson MDSG, 渋谷区大山町36-18 (代々木上原/東北沢), tel.03-3481-6711. 2000/7/13-8/19 (日月祝休), 13:00-19:00. 坂 茂 設計の 三宅 一生 の紙管のギャラリー MDSG (Miyake Design Studio Gallery (?)) での展覧会。『三宅 一生 展 Issey Miyake, _Making Things_』にも出展していた作家だが、それほど印象に残って いなかったのも事実だ。 _Spin Sink_ (1995) という作品が展示されていたのだが。模型用程度の 小さなモータの回転を、減速するように歯車で繋いでいるだけの作品 なのだが。最初の1600rpmの回転が、最後の24番目の歯車では83年に一回転 というところまで減速させられている。その単純な落差が面白かった。 ちょっとバカバカしい感じもあるのだが、リサイクル品を使ったという ジャンクな感じの仕上がりもそのバカバカしさを醸し出していて、 ちょっとしたユーモアになっていたようにも思う。 2000/7/29 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕