『マルコビッチの穴』 _Being John Malkovich_ - USA, 1999, color, 1h52m. - Directed by Spike Jonze. Written by Charlie Kaufman. - John Cusack (Craig Schwarz), Cameron Diaz (Lotte Schwarz), Catherine Keener (Maxine), etc. Beasty Boys や Fatboy Slim などの音楽ビデオ・クリップ監督として知られる Spike Jonze の映画初監督作品ということで、気になっていた映画を観て来た。 USでの評論家受けも良く、期待が大きかったせいもあるのかもしれないけど、 肩透かし。いささか凡庸な映画だったように思う。 というか、設定の奇抜さの割にはふっきれていない。もっとドタバタな感じの 展開でも良かったように思うし。印象に残るような強力な画面作りも少なく、 物語を追うことに終始するような画面作りも目立ったように思う。 前半の、7 1/2 階といういささか馬鹿げた設定や、John Malkovich の穴を 見付けたあたりまでは、まだ良かったように思うのだけど、Craig が Malkovich の中に居座り続けたあたりから、半端な心理的哲学的要素が入ってくるような 感があって、つまらなくなったように思う。原題にある being (人間の存在) の ような問題だって、そんなに突き詰めて極端な状況とか映画の中で提示している という感じでもなかったと、僕は思う。 そんな中で印象に残ったのは、人形の動き。人形使いの主人公の操る人形の 動きは、映画を観ていたときは、モーション・キャプチャーしてCGで描いたの ではないか、と思ったくらい。クレジットによると、Philip Hurber という人が やっているそう。この人形の動きは一見に値するかもしれない。 2000/9/13 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕