Ayse Erkmen Galerie Deux, 目黒区柿の木坂2-10-17 (都立大学), tel.03-3717-0020, http://www.t3.rim.or.jp/~gal-deux/ . 2000/9/14-12/22 (日月祝休), 11:00-18:00. ドイツを拠点にして活動するトルコ人女性作家 Ayse Erkmen (正確には、 s の下に cedille のような記号。アイシャ・エルクメン。) の展覧会。 その出自などから、移民労働者 (gastarbeiter) 問題などとも関係した作品 でも制作しているのだろうか、と予想したのだけれども。作品からはほとんど そんなことを思わせないような、ミニマルから一歩コンセプチャルに踏み込んだ ような作風だった。ちなみに、ミュンスターの彫刻展にも参加していた作家の ようだが、僕にはほとんど予備知識は無い。 1階の大きなギャラリーでは、その空間を単純な口の開いた直方体と見立て、 辺の長さを1/2, 1/4, 1/8, 1/16, 1/32 とした模型を宙にぶら下げるという 展示をしていた。模型は木枠に障子紙貼り。最も大きいものだけは木枠では 強度不足ということでアルミ枠になっていた。しかし、それでも、紙の重量で 枠は歪んでしまっていた。吊るされている模型が何を表しているか、という ことよりも、これだけ大きいと、視界が狭く感じるというほどではないが、 迫力は感じる。枠の歪みや紙の皺も、その規模を思わせるような質感の表現 になっているように感じるほど。それが良かった。Galerie Deux の贅沢な空間 ならでは楽しめる作品だとも思うけれど。例えば、狭いギャラリーでこれを やったら、狭苦しくなるだけで、映えないだろうなあ、とも思う。 もう一つの作品は、実際にある対人地雷の中から6種類を選んで、それを ある程度単純な形状にし、緑色に色付けた、そういう物体をモチーフ にした作品。その物体の形状をCGで起こして物体が並びながら跳ね歩く ようすを表示するビデオ作品と、白いタイルに緑の模様として焼き付けて あるマルチプル作品。NHKのドキュメンタリで何回となく見かけたことの ある有名な形状の対人地雷もあったので、僕はすぐにそれだと気づいた けれども。ぱっと見は、かなりポップで可愛らしい。おそらく、そのギャップを 楽しむものかもしれないのだが、僕のツボにはハマらなかった。 とても良かった、という程でもないけれど。散策ついでに覗くという程度なら 十分に楽しめる展示だ。 2000/10/7 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕