『大道芸ワールドカップ in 静岡 2000』 _Daidogei Worldcup in Shizuoka, 2000_ 駿府公園, 青葉シンボルロード, 等, (静岡市内) 1999/11/2-5 http://www.daidogei.com/ 今年で9年目の、日本最大で、世界でも有数の規模の大道芸のフェスティヴァル。 今年は4日間と期間は去年よりも短いものの、駅の南口、馬場町、さらに、 東静岡駅前の葵博会場にまで会場を広げての開催となった。去年に続いて、 今年も初日から二泊三日で観てきた。今年は、初日、二日目と雨に降られ、 特に、初日はほとんど中止状態。会場が広がっても、メインの駿府公園と 青葉通りの界隈を観て回るのが精いっぱい。ちゃんと観ることができたのは 26演目だけだった。その中で印象に残ったものについてコメント。 最も印象に残ったのは、UK/USA のコメディ3人組の The Primitives 。今回の 演目は _Cook It_ というものだそうで、ミュージカル仕立てでズッキーニ入りの オムレツを作った。といっても、単に演じるだけでなく、客を巻き込むし。 社会階級を意識したような人物の演じ分けなど、さりげなく社会風刺も入って いるように感じたのは深読みし過ぎかもしれないが。ナンセンスさも合わせて けっこう _Monty Python_ に近いセンスのようで、僕の笑いのツボに最も ハマった芸人たちだった。実際に芸に巻き込まれたため、印象に残っている という面もあるかもしれないが。 一方、France のハプニング2人組 Hector Protector は、最初に観たのは 公園のステージだったのだが、客弄りせずに単に演技しているだけで、 社会風刺的なコンセプトが頭でっかちに感じる、ダメな出来だったのだが。 4日の晩に市内のデパートの中で繰り広げたハプニング・パフォーマンスは、 ショッピングするカップルという感じのやりとりも軽妙で良かったし、 何も知らない店員や通りすがりの客を巻き込んでいく感じも、とても面白かった。 ハプニングとしてエントリしていた、ということを考えると、ステージではなく、 普通の街中でのパフォーマンスが、やはり本領なのだろうか。 今年から、駿府公園でも日没後のパフォーマンスが行われるようになって、 商店街のナイト・パフォーマンスとはまた違った雰囲気を楽しむことができた のだけれども。そんな中で、去年も観た空中ダンスの Strange Fruit は、 夜空にライトアップして浮かび上がる様子が、同じ内容のはずなのに昼と 全く異なる幻想的な雰囲気になっていて、それがとても印象に残った。 大道芸というには少々変わった演目としては、Cirque des Puces Savantes こと France の「蚤のサーカス」。話には聞くものの、実際に観たのは始めて。 一種の話芸なんだろうけれど、予想以上に胡散臭さが面白かった。一回にテント に入ることができるのが40人と、観られる人も限られた演目だったが。 サーカスというと、今年は Germany から、Shosha & Volker Maier という ジャグラー+空中芸のデュオが来ていたが。天候が悪く空中芸ができず、 あまりのった演技ではなかったように感じられたのが残念。悪くは無いけれど、 去年、野毛で観た Maryse & Bruno や静岡で観た Fura に比べて、やはり 見劣りするとも思った。 大道芸をよく観るようになった頃は、コミック・ジャグリングを一番の楽しみに していたように思うのだけれど、最近はそうではないコメディやパントマイムの ようなものを楽しんでいることの方が多いように感じる。実際のところ、 コミック・ジャグリングの芸人は最も多いタイプでもあると思うし、その分だけ、 いささかパターン化してきているように感じるところもある。単に僕が見慣れて しまっているだけかもしれないし、いくら型があるとはいえ、David Claypatch (今回は出場していなかった。) のようなハイレベルの演技はとても楽しいけれど。 そういう点では、僕も大好きな日本のコミック・ジャグリングのデュオである つぶつぶオレンジ が、今回は充電期間ということで出場していなかった、 というのは、象徴的なのかもしれない、と観ていて感じてしまった。 2000/11/5 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕