ピエール・ベルナール 『現実的であれ、不可能を試みろ (作者不詳/1968年パリ)』 Pierre Bernard, _Soyez Raisonnables, Damandez L'Impossible (Auteur Inconnu, Paris, 1968)_ ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 中央区銀座7-7-2DNP銀座ビル (銀座) http://www.dnp.co.jp/gallery/contents.html, tel.03-3571-5206 2000/11/6-28 (日祝休), 11:00-19:00 (土11:00-18:00) Paris の五月革命 (1968年5月) に触発され、1970年に結成されたグラフィック・ デザインのユニット Grapus のメンバーだった Pierre Bernard の展覧会。 現在は、Atlier du Creation Graphique というユニットで活動している。 ちなみに、展覧会の題名は、五月革命の際に壁に書かれていたというスローガン から取られている。 モダンな写真やタイポグラフィーのコンポジションと、手書き文字や粗い感じの イラストレーションの組み合わせが印象的なデザインなのだが。以前にポスター 展で観たときも感じたのがが、ポスターよりも、むしろ、書籍やパンフレットの デザインの方が向いているという感じがする。タイポグラフィにしても 大きな文字を大胆にレイアウトするというより、細かい文字をあちこちに レイアウトするし。写真の使い方にしても細かい。ぱっと見も悪くないけれど、 その後の読みこみを要求するようなグラフィック・デザインだと思う。 「グラフィックアートが果たす文化的意味を拡大させることで、社会に政治的 効用のあるサインを組み入れる」というコンセプトなのだが、そういう効用に しては、いささか凝り過ぎるような気もする。といっても、そういうデザインも、 レコード・ジャケットや本のデザインだったら、かなり格好良いように思う。 実際、展示されていたパンフレットや本のデザインの方が良かった。 France は Amien, Nord の Label Bleu レーベルのジャケットデザインを 手がけていた一人 Jacques Leclercq のデザインなど、Grapus の影響を強く 感じるものだし。先日観た、『アフッシュ・フランセーズ ― 現代フランス ポスター50年の歩み (50 ans d'affiches francaises)』(ヒルサイドフォーラム, 2000/8-9) を観ていても、かなり目を惹く存在だったと思う。France の今の グラフィックデザインの一つの流れを垣間見ることのできる展覧会では ないか、と思う。 2000/11/12 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕