『希望の光』 佐賀町エキジビット・スペース, 江東区佐賀1-8-13食糧ビル3F, tel.03-3630-3243. 2000/11/17-12/3 (会期中無休), 12:00-20:00. - 荻野 俊介, 木村 太陽, 小金沢 健人, 中山 ダイスケ, 真島 竜男, 宮永 甲太郎. 日本出身の若手 (30歳前後) の作家を集めたグループ展。展覧会全体としては、 それ以上の方向性は感じられないけれども、佐賀町エキジビット・スペースの 雰囲気からすると、このくらい雑然とした感じで良いだろうか。初見ではない 作品も多く新鮮味には欠けたけれども、ショーケースとしては悪くないだろう。 というわけで、いくつかの作品について紹介。 木村 太陽 『さめてはいけない夢/さめられない夢』は、首の代わりにキャスタ が付いた鳩の縫いぐるみた沢山床に並べられ、その上を、鳩の首の縫いぐるみが 載った枠付きの台がスライドするようになっているもの。台は、観客が押して歩く ことができる。首の代わりにキャスタが付いているのは遠目にはよく判らない ところが面白い。不気味可愛い感じがなかなかシュールな作品。実は、この作品、 数年前にコバヤシ画廊 (京橋) の地下で観たことがあるのだが、その時は閉鎖的な 空間では、不気味さの方が突出していたように思うのだけど。こういう開けた 明るい空間の方が、作品の持っている不気味さとの落差が良いように思う。 屋内ではなく、例えば、晴れた日の上野公園か日比谷公園のような鳩か群れて いるような野外で、この作品を (一時的にで良いから) インスタレーションした 作品を観て見たい、と思ってしまった。木村 太陽 はこの手の不気味可愛い テイストが良くて、僕の好きな作家の一人だ。やはり、コバヤシ画廊の地下で、 貧乏ゆすりする脚 (の縫いぐるみ) だけを沢山並べた作品を観たことがあるのだが、 これなどは、あの閉鎖的な空間の方が面白いように思うが。 宮永 甲太郎 『佐賀町型』 は、植物 (芝だろうか) の種を混ぜ込んだ泥を繋ぎに して煉瓦を組み上げた、野外インスタレーション作品。日が経つにつれて緑に 包まれ、壁や屋根から雑草が生えた廃屋の部分のような雰囲気を作り出すという ものだが、季節が冬で寒いせいか、それほど緑は出ていなかった。食糧ビルの 屋上を使っての展示だが。関東大震災直後に竣工した古い味のある外観のビル とはいえ、屋上の場合、下から見るほどには時代を感じさせないところが、 ちょっと惜しい。こういうインスタレーションは、もっと新しくて綺麗な作りの 建物に対して、それを異化するかのように置かれるか、もっと廃墟然とした所に 妙な新しさを感じさせるように置かれたほうが、面白いように思われる。 といっても、彼のこの手の作品は、数年前に、紀伊半島南部も会場にして開催 されたアート・イヴェント『Morphe』の記録のスライドか写真で観たことがあって、 少々気になっていたので、実際の作品を観ることが出来たのは、有り難かったが。 ちなみに、この展覧会は、佐賀町エキジビットスペースが2000年をもってその 活動を終えるにあたって開催されている一連の展覧会・イヴェント『佐賀町2000』 の中の企画として開催されているものである。 2000/11/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕