Dumb Type 『Memorandum』 新国立劇場小劇場, 2000/12/9, 13:00-14:30. - 高谷 史郎 (アーティスティック・ディレクター), 池田 亮司 (音楽), 藤本 隆行 (照明), 泊 博雅 (映像), etc. - 出演,振付: 大内 聖子, 川口 隆夫, 砂山 典子, 田中 真由美, 前田 英一, 薮内 美佐子, 尾崎 聡, 藤原 マンナ. 1980年代に京都から出てきたマルチメディア・パフォーマンス集団 Dumb Type の 最新作『Memorandum』 (1999年に欧州で初演) の東京公演を観てきた。実は、 Dumb Type を生で観たのは初めて。パフォーマンスそのものよりも、普段、 家で大音量で聴くことができない 池田 亮司 の音を体感すること一番の楽しみに していた面もあったのだが、観た結果はその通りになってしまった。 途中の熊の着ぐるみを着てのパフォーマンスがあったのだが、その時に、動きの 悪さを痛感してしまった。着ぐるみの場合は、オーバーアクションに近い動きで やっと何をやっているか伝わるところがあるだろうに、それに欠けるので、半ば 意図不明。もしかしたら、クラウン的な意図もあったのかなとは思うのだが。 それにしてはハズしていたように思う。という感じで、パントマイムやダンスの ような人の動きが前面に出てくるような所は、観ていてかなり辛かった。 といっても、舞台の仕掛けは良く工夫されていたと思う。舞台後方に背景となる ように吊るされた半透明のシートは、客席側から投影される映像はもちろん、 舞台後方側から投影される映像のスクリーンとして機能するだけでなく、 そのシートの裏側での動きをソフトフォーカス的な効果を通して見せるよう にも機能していた。暗い舞台でコントラストの強いライティングで人を浮かび 上がらせているときは、立体感が失われて映像的だ。人の動きを投影される 映像に影を通して見せたり、半透明なシートを通してソフトフォーカスな状態で 見せたり、と、身体性が引いて映像に解け込んでいるような舞台のときは、 悪くは無かったのだが。 もう一点、面白いと感じたところは、舞台上から吊るしたビデオカメラを使って、 それで撮っている映像をそのまま舞台に投影しているところ。特に、それを 下げて揺らしたときの映像の動きが良かった。そういった演出上の工夫が 良かっただけに、出演者の動きが表に出てきたときの落差が大きかった、という のもあるとは思うが。結果として、とても弱い舞台になってしまったように思う。 2000/12/10 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕