ゴキブリコンビナート 『Death Musical ― 死期』 法政大学学生会館大ホール, 2000/12/24, 15:00-17:00 - 作・演出: Dr. エクアドル. 照明・音響・舞台監督: 法政大学舞台技術研究会. 制作: 伊藤 千恵. 企画: Dr. エクアドル, 法政大学事業委員会, 黒いスポットライト. - スピロ 平太 (レオ), 石井 悦子 (小野 広美), マンコ NY (広美の父,中毒者), ボボジョ 黄桜 (子供時代のレオ,中毒者), オメス 吉祥寺 (パンジャ), 福永 淳 (アストラ,家族), 戦国魔人無我 (溶接屋), ワッシャー 木村 (中毒者), 病気マン (中毒者), 森野 久美子 (家族), 家元 霊三郎 (家族), Dr. エクアドル (中毒治療指導者,徳川), 福原 充則 (死刑囚), 吉見 匡雄 (死刑囚). 抑圧された社会の周縁部を題材に見世物的なミュージカルを演ずる劇団 ゴキブリコンビナートの第12回公演は、2時間という公演時間も長かったし、 今までより登場する役者の数も増えたが、そのせいもあってか、いささか表現が 薄くなった印象を受けた、そんな作品だった。あまり登場人物を広げず核となる 数人の役者で話を引っ張り、1時間くらいで終わっていたほうが、良かった ように思う。ま、メジャーとなっていく過程ではやむを得ない面もあると思うが。 題からして、また冒頭から死刑に関するテーマと思いきや、途中でむしろ 薬物中毒患者がテーマのような感じになり、最後はむしろ人体パーツの再利用の 問題を扱っているようであり。継ぎ合わせたような題材の扱い方のいいかげんさは、 むしろ、ありがちな主張を盛り込むより良いとは思っているが。それでも、 この公演では、いささか散漫な印象を受けたようにも思う。天皇誕生日や クリスマスを含む公演期間ということもあり、それに関するネタをもっとやるかと 期待したところもあるが、それも無し。 相変わらず身体を張ったドタバタを演じていたが。松葉杖を突いていた役者が いたが、稽古中もしくは本番中に骨折したのではないか、と思わせるところも。 それから、生きた本物の豚を登場させていたが、有効には生かされていなかった。 本物の豚である必然性は無かったし、役者が演じた方が面白かったかもしれない。 初めて観たのは去年の『粘膜ひくひくゲルディスコ』 (フジタヴァンテ, 1999/5) と最近とはいえ、続く『ロワゾ・ブル ― 譫妄編』 (中野ひかり座, 1999/9) も とても楽しめただけに。期待するところも大きいのは確かなのだが。今年に入って からの公演は、『腑恥屠魔屠沙羅唾記念日』 (明石スタジオ, 2000/4/28) にしても 去年ほど強い印象を残さなかったように思う。ちょっと残念。 2000/12/24 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕