『美術館を読み解く ― 表慶館と現代の美術』 東京国立博物館表慶館, 台東区上野公園内 (上野), tel.03-3272-8600, http://www.tnm.go.jp/ , http://www.momat.go.jp . 2001/1/23-3/11 (月休;2/12開;2/13休); 9:30-17:00. - 松井 紫朗, 栗本 百合子, 谷山 恭子, 高柳 恵里, Teresita Fernandez. 1年半ほど前、東京国立博物館の本館の展示室の一室を使って、Mischa Kuball, _Power of Codes - Space of Speech_ (東京国立博物館本館第一室, 1999/10/12-31) というのが現代美術のインスタレーション展示が行われたのだが、この際は、 壷や茶碗の名器が並ぶ展示をそのままに展示が行われていた。しかし、この 展覧会は、平成館の開館に伴い陳列品が無くなった表慶館を利用したもの。 もちろん、陳列品が無いからこそこれだけの規模で展示が出来たのだとは思うが、 従来の展示と作品の間の緊張感、のようなものを楽しむことはできなかった。 そういう点は少々残念。作品については、印象に残ったもののみコメントする。 入ってすぐのホールの吹きぬけを黄色の布で漏斗状に区切った 松井 紫朗 の 作品は、下から頭を入れて見上げるのも良いが、むしろ、二階から見下ろしていて、 ボールを転がして遊びたいと思わせるような作品だった。展示ケースにパイプを 通した作品も、声を通して遊びたくなるようなところがあった。 展示ケースに波打つように砂を入れた Teresita Fernandez の作品も綺麗。 部屋を暗くして青い光で浮かびがらせているところも幻想的だった。しかし、 表慶館という場である必然性がほとんど感じられない作品、とも言えるわけで、 それがちょっと引っかかったけれども。下手に場に拘るよりは良いかもしれない。 たいして東京国立博物館に行ったことは無いし、実は、意識して表慶館に入った のは初めて。1908年に竣工した洋館は、他の東京国立博物館の建物と違い、和風の 雰囲気を折衷しようという所をあまり感じさせない作りが、気に入ったけれど。 そういう意味ではこのような展覧会は足を運んで建物を観ようという契機になって ありがたいのだが。 2001/2/18 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕