Christian Marclay, _Guitar Drag_ ギャラリー小柳, 銀座1-7-5, tel.03-3561-1896, http://www.bekkoame.ne.jp/~kimata/index.html . 2001/3/27-4/10 (日祝休), 11:00-19:00 クラブDJとは違う文脈で、アナログのレコードを音の出るオブジェとして使う ようなターンテーブル演奏で知られる Christian Marclay の新作ビデオ作品は、 ターンテーブルではなくエレクトリックギターを使ったもの。 オフロードトラックの荷台にギターアンプを積み、それに Fender の赤い エレクトリックギターを繋ぎ、トラックを使って地面の上でギターを引き摺り まわすことによって、「演奏」するというもの。その様子を収めた映像と音 からなるインスタレーションが、この作品だ。 ギターを引き摺りながらギターアンプの轟音を立てて走りまわるトラック、 というのが、シリアスと間抜けの紙一重のところ、という感じで、ビデオを 見ていて思わず笑ってしまった。 最初は草むらの中を走っていることもあり、ギターアンプの立てる音も変化に 富んでいるし、弦が弾かれるような楽器的な音も混じっているのだが。 最後の方の舗装道路の上を走っているところでは、ほとんどガーッという ノイズだ。しかし、カーブなどで微妙に音が変わったりするのが面白い。 正直に言うと、映像の方は観ていて酔うようなものなのだが、それでも、 どういう音になるんだろう、と、思わず観つづけてしまうところがあった。 強面するノイズに比べて遊び心を感じて実際は笑える、というあたりは、 『出会い』展 (東京オペラシティアートギャラリー, 2001/1-3) で観た 刀根 康尚 の _Wounded Man'yo 2000_ にも近い感触があるけれども、 こちらの方が力技的な馬鹿馬鹿しさを感じて良いような気がする。 しかし、このギターの「演奏」を収めたCDは、リリースされないのだろうか。 2001/4/1 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕