David Hammons ギャラリー・シマダ, 渋谷区神宮前4-7-2, tel.03-5411-1796. 2001/3/27-4/28; 11:00-18:00 (日月祝休) いささかコンセプチャルなインスタレーションを行うUSの作家 David Hammons の 新作展。初めて Hammons の作品を観たのは、『しなやかな共生』展 (水戸芸術館 現代美術ギャラリー, 1997) でだったのが、そのときは、暗めの空間で細部が 見えなかったこともあるかもしれないが、かなり作りこんでいたという印象が あったのだが。翌年1998翌年にギャラリー・シマダであった個展は、水色の ビニール・シートや机、泥などがギャラリーにまるで無作為のように置かれた だけの作品だった。ギャラリーといても高級感の無い安っぽいアルミサッシの ガラスの扉を介して通りに面しているので、展示というよりも単にどっかから 拾ってきた物をとりあえず置いてあるだけ、とも見えるように感じるもの。 面白いというには、ちょっと考え過ぎなんじゃないかな、とも思ったが。 今回の展示は、展覧会の痕跡というのがコンセプトの作品で、ギャラリーの壁に、 キャンパスを懸ける金具と、額縁跡を擬した四角い薄い汚れを施したもの。 外から見たくらいでは、そんな仕掛けはほどんと気付かないので、単なる 真っ白な空間だ。正直に言って、それだけでは面白いとは思わなかったのだが。 なんとなく、そこに絵が掛かっているかのように壁を睨んでいたら、サッシ扉を 通して通りからの視線を感じた。ふと目をやると、まるで、「この人、いったい 何を観ているんだろう。何があるんだろう。」といういぶかしげな顔をして 中の様子を伺っている若い女性二人組がいた。僕が顔を向けると、足早に立ち 去ってしまったけれども。 それがとても面白かったので、暫くの間、壁に絵を掛かっている絵を見ている ようなふりをしていた。その後、他の通りの人たちがそれを見ていたかどうかは 判らないけれども。僕にとっては最初のレスポンスで充分だった。 2001/4/14 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕