『汚名 ― アルフレッド・ヒッチコックと現代美術』 _Notorious: Alfred Hitchcock and Contemporary Art_ 東京オペラシティアートギャラリー, 新宿区西新宿3-20-2東京オペラシティタワー3F, tel.03-5353-0756. http://www.tokyooperacity-cf.or.jp/ 2001/4/4-6/17 (月休;月が祝日の際は火休), 12:00-20:00 (金土12:00-21:00) - John Baldessari, Judith Barry, Cindy Bernard, Victor Burgin, Stan Douglas, Atom Egoyan, Christoph Girardet & Matthias Mueller, Douglas Gordon, Pierre Huyghe, Christian Marclay, Chris Marker, David Reed, Cindy Sharman. Alfred Hitchcock 生誕百年記念として1999年に巡回を始めた展覧会の日本展。 期待して観に行ったのだが、裏切られた展覧会だった。元ネタの Hitchcock の 映画を観ていた方が楽しめるのではないか、という感じの縮小再生産的な内容 だったと思う。 様々な作品から編集したビデオ (Christoph Girardet & Matthias Mueller) や、 インスタレーション (David Reed) で、Hitchcock 的とでも言うべきものを 浮かび上がらせよう、とでもいう作品がけっこうあったのだが。それはそれで コンセプトは判るのだが。例えば、従来のTVドキュメンタリー番組や文章による 映画批評で抜け落ちているものがあって、だからこうして作品として表現 しなければならない、とでもいう必然性というか問題意識がどうも作品伝わって こなかったのだ。 これは、多くの作品において用いられているビデオというメディアが、特に時間に 関して下手、と思われることもあると思う。鑑賞者の理解など他所に一方的に 時間に対してリニアに進行してしまうビデオは、ちゃんとメリハリを付けないと 鑑賞者の注意を惹くことは困難だと思うのだが。そういうメディアの特性に ついての考慮が抜け落ちているように思うのだ。鑑賞者は全てに注意して観て いて当然、とでもいうような作り、というか。Hitchcock の映像のイデオロギー に拘っているようで、自身の映像のイデオロギーに無頓着とでもいうか。 こんなことであれば、Hitchcock の映画を観て、批評でも読んで、自分で考えた 方が面白いように思ってしまうのだ。 そんなことを言っても、もちろん、それなりに面白かった作品はあった。特に、 Alfred Hitchcock (dir.), _Psycho_ (1960) を24時間かけて上映する、という Douglas Gordon, _24 Hour Psycho_ (1993) は、上映における時間の扱いに自覚 的なところも良いし、スライド上映のような綺麗な大画面の目の惹き具合といい、 最も楽しめた作品だった。 2001/5/6 (2001/5/16) 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕