Rosas _Drumming_ 彩の国さいたま芸術劇場, 2001/6/2, 15:00-16:00 - Choreography: Anne Teresa De Keersmaeker. Music: Steve Reich. Set and Lighting: Jan Versweyveld. Costumes: Dries Van Noten. Dancers: Igor Chichko, Marta Coronado, Alix Eynaudi, Fumiyo Ikeda, Martin Kilvady, Oliver Koch, Cynthia Leomij, Roberto Olivan de la Iglesia, Ursula Robb, Taka Shamoto, Clinton Stringer, Rosalba Torres, Jakub Truszkowski. 約一時間の舞台の中で、最も印象に残ったのは、墨壷 (といっても墨ではなく 白い粉を用いていたのだけれども) を用いて、舞台中央にやや斜めに線を引い てから暫くの展開。踊ったり、歩いたり、走りながら、次第にダンサーたちが その線の上に並び始めていくのだが。明らかに線の上に並んでいるというのが 判るくらいに並んだ一方、決してぴったりその上にダンサーが並ぶというわけ ではなく、動きも特に揃うことなく、再びばらばらになっていってしまった。 この一連の動きでは、明示的に引かれた線があったわけだけれども、そうで なくても、舞台の上に線が引かれているような感じが幾人かの動きでかなり 明示的に示されているように感じる舞台だった。(一階から観ていたこともあり 判らなかったのだが、二階から観ていた人によるとペンタグラム (五角の星型) を 描いていた、とのこと。) しかし、その一方で、その線はきっちり引かれた線と いうよりも、ある程度の幅というか揺らぎを持っているものに感じられるもの だった。この微妙なバランスが面白かった。ダンサーも常にコントロールの 効いたダンスを踊って見せているわけではなく、比較的普通に歩いたり、 舞台の脇で休むように立ったり座ったり。Rosas はこれまでビデオでしか 観たことがなかったのだが、狭い画面ではこのような緩いパターンは意識でき なかっただけに、興味深かった。 そういうパターンを感じさせるところは、マスゲームみたい、と思うところも あったけど、全体の構成ばかり目がいっていたわけではない。特に最初に目に 付いたのは、最も大柄な女性ダンサー。最初、踊るほかのダンサーの間に線を 引くかのように、その間を直線的に歩き回っていたのだったが。その体格的な 存在感もあって、それがかなり目立っていた。むしろ、彼女の動きのおかげで、 線を引くような構成を意識するようになったのだが。そのまま、歩き続けるのか、 と思っていたら、途中でダンスし始めたが、それも良かったように思う。 かといっても、ダンス的な動きでこれといって凄いと感じたりキメたと感じる ような所はなかった。むしろ、緩やかに緊張や弛緩をしながら淡々と動きを反復 するという印象。それなりに面白かったのだけど、いささか印象は薄めかも しれない。女性ダンサーに比べ、男性ダンサーが目立たないような演出だった ようにいささか感じたが、それは Rosas だからか。 音楽の Steve Reich, _Drumming_ との関係が、観る前の一番の興味だったのだが。 それについては、結局、合っていなかったということは無かったけど。揺らぎと いうか幅を感じる踊り、という関係からして、生で音楽を付けたものを観た かったようにも思う。 2001/6/3,5 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕