Michael Saup + Supreme Particles _R111_ スパイラルガーデン, 港区南青山5-6-23スパイラル1F, tel.03-3498-1171, http://www.spiral.co.jp/ , http://www.canon.co.jp/cast/ . 2001/6/1-17 (会期中無休), 11:00〜20:00. Canon Artlab の第5回プロスペクト展として開催されている展覧会。いわゆる、 コンピュータとネットワークを利用したインタラクティヴアートなのだが。 Michael Saup はドイツの作家で、William Forsythe & Frankfurt Ballet と _Eidos Telos_ (1995) のためのシステム _Binary Ballistic Ballet_ (1995) でコラボレーションしたことがある、という経歴を知って、身体性の処理は 巧いのかなぁ、と期待していたところがあるけれども、それほどとは感じられ なかった。 最も面白かったのは、メインの Sound Floor で、その上を歩くと、それに あわせて床の上に投影されたモワレ縞的な映像が波打ち、音と振動がする、と いうもの。それほどレスポンスも悪くなく、そのフロアの上を歩き回ったり 軽く踊ったりして、音を出して遊んでみたくなる程度もものはあったと思う。 しかし、それから先だ。そこから「エネルギー」を得て、いろいろなシステムが 連動しているのだが、それが観念的過ぎて面白くない。実際の水を音で波立た せてプロジェクタで光を透過させて模様を投影させる Liquid Module は、 Tomato の展覧会で同じようなものがあって、そちらの方が仕上げは丁寧な 作りだと思ったし。特に、インターネット上からウェブのコンテンツを取ってきて、 それを「エネルギー」に変換して表示する Semantic Energy Visualizer は、 そのようにウェブのコンテンツを視覚化して何が面白いのか、というか、 ウェブのコンテンツである必然性が全く感じられず、ランダムの入力であれば 何でも良いように思えてならなかった。こういうのは、この手のコンピュータと ネットワークを利用した作品にありがちで、いささかうんざりなのだが。 メインの Sound Floor 自体はそれほど悪くはないが。仕組みはもっと単純な ものになっているが、やはりフロアの上を歩くと投影されている絵が変化して 音がする作品として思い出すのは、Studio Azzurro, _Coro_ (1995) 。変化する 映像は、半裸の人々の寝返りを打つ姿だし、出る音は寝息の音や寝言だったり するのだが。そちらの方が、抽象的な音や映像と必然性の感じられない ネットワーク拡張よりも、身体性という点でも面白いように思うのだ。 2001/6/3 嶋田 Trout Fishing in Japan 丈裕